心は脳のどこで生まれるのか。心の発生源である「脳幹」「大脳辺縁系」「大脳皮質」について解説します

以前の記事で、現代の科学では「心は脳にある」と考えられていることを紹介しました。

今回はその心の発生源ともいわれている脳について詳しく紹介していき、「心は脳のどこで発生しているのか?」という心についての知識を更に深めていきたいと思います。

※本文中のイラストは自作です(;^ω^) あくまで簡易的ではありますが参考にしていただければなと思います

スポンサーリンク
記事内広告

脳は三層構造でできている

脳は脂質とタンパク質からなる重さ1400gの柔らかい器官です。

大きさからいうと人体のわずか2%という小さな器官ですが、心を生み出す他にも全身をコントロールする司令塔としての役割ももっています。

脳について学習していく際には脳を進化の過程に従って下層、中間層、表面の三層に分けて考えていくと便利です。

三層のうち、下層は脳幹、中間層は大脳辺縁系、表面は大脳皮質となります。

私達の脳は最も原始的な脳である「脳幹」を中心として、その外側に少しずつ新しい脳が増築されたような構造になっています。

脳幹→大脳辺縁系→大脳皮質

の順に私達の脳は進化を遂げてきたということですね。

また、この3層は前回の記事で、心の3要素としてあげた「欲望」「感情」「理性」を生み出す場所としてそれぞれがリンクしています。

それではまずは最も古い脳と言われている下層の脳幹から紹介していきます

「欲望」を生み出す脳幹

脳幹は、延髄、橋(きょう)、中脳、視床下部、視床で構成されています。

脳幹は進化のプロセスでも最も古い脳であり、脳幹の構造はヒトでも他の脊椎動物でもほぼ同じです。

私達は、タイのような魚類、蛙のような両生類、ワニのような爬虫類と同じような脳幹をもっているということになります。

脳幹の働きとしては、呼吸、睡眠、体温の調節、代謝など動物が生きるのに欠かせない基本を作り出しています。これらの働きから脳幹はまさに生命活動の中枢ということができます。

また、脳幹は以前、心の三要素として紹介した「欲望」の発生源にあたる場所です。

脳幹の上部に位置する視床下部には、食べたいという食欲を発生させる摂食中枢、食べた後にお腹がいっぱいになった事を知らせる満腹中枢、セックスをしたくなる性中枢などが存在します

「感情の脳」ともよばれる大脳辺縁系

次は中間層の大脳辺縁系について。

大脳辺縁系は帯状回、海馬、扁桃体、側坐核などからなり、記憶、やる気、好き・嫌い、怒り、恐怖などに関連する場所です。

心の三要素として紹介した「感情」はこの大脳辺縁系から生み出されており、別名「感情の脳」ともいわれています。

以下、帯状回、海馬、側坐核、扁桃体の働きについて簡単に紹介します。

帯状回は情報を快か不快かにより分け、これからどのような行動をするかを決定する意欲や動機づけに関係しています。

海馬は外からの刺激や情報を短期記憶として一時的に保存し、それを長期記憶に移行させる際に重要な働きをしていると考えられています。

側坐核は「やる気や快感」に関連しており、やる気の脳とも言われています。

扁桃体は好き、嫌い、怒り、恐怖といった感情の発生源です。

扁桃体を削除されたサルは通常怖がるはずのヘビを見ても、逃げることなく逆に食べようとさえするようになります。

本来備わっているはずの恐怖心が欠落してしまうのですね。

この扁桃体は感情のコントロールを学ぶ上で非常に重要ですので、以降の記事でも詳しく紹介していくことになります。

理性を司る大脳皮質

最後は脳の一番外側・表面層の大脳皮質について。

大脳皮質はヒトの脳の容積の80%を占め、ここでヒト特有の思考や知覚、記憶、言語など高度な活動を行っています。

人間の脳が他の動物と大きく違うのは、この大脳皮質が発達しているからであり、それゆえに人間は豊かな知能を持ち、言葉を使い、社会的な生活を営むことができます。

大脳皮質はその場所によって大きく「前頭葉」「側頭葉」「頭頂葉」「後頭葉」の4つに分類されます。

「前頭葉」には運動野やブローカ野があり、運動や言語に関わっています。また、側頭葉、頭頂葉、後頭葉がもたらす様々な情報をまとめる前頭前野が存在し、判断や行動の決定、高次の精神機能などにも関わっています。

「側頭葉」には、聴覚野やウェルニッケ野があり、音声や文字の意味の理解などを担っています。また、記憶や嗅覚にも関わる場所。

「頭頂葉」には耐性感覚野があり、全身の感覚情報を統合する働きなどを担っています。

「後頭葉」には視覚野があり、視覚や色彩の認識になどに関わっています。

この大脳皮質の中でも特に重要なのは前頭葉の最も前のほうに位置する「前頭前野」

前頭前野は知性や理性、創造性を担う脳の最高中枢とも呼ばれており、私達の心を語る上においても、とても重要となる場所です。

前頭前野を損傷した人は人間らしい思考や意志、意欲、判断力などがなくなってしまい、何事にも興味が持てない無気力で無関心な人間になってしまいます。また、性格が大きく変わってしまうなどの症状が出ると報告されています。

また、前頭前野には感情をコントロールする働きがあり、心の三要素である「理性」はこの前頭前野から生まれているといえます。

心を知る上で大切な場所

以上が脳の三層構造「脳幹」、「大脳辺縁系」、「大脳皮質」の説明となります。

この中でもヒトの心を理解する上で特に大切な部分は中間層の「大脳辺縁系」と表面層の「大脳皮質」に存在する前頭前野。

大脳辺縁系は「感情の発生源」であり、前頭前野は「感情をコントロールし、理性を司る場所」と紹介しましたね。

さて、少しずつ漠然としていた「心」の姿が見えてきました。

次回は大脳辺縁系に属する扁桃体について詳しく解説し、ネガティブな感情の暴走がどのように生まれているのかを紹介していこうと思います。

まとめ

・脳は三層構造でできている。下層は脳幹、中間層は大脳辺縁系、表面は大脳皮質。

・三層はそれぞれ心の三要素である「欲望」「感情」「理性」を生み出す場所として対応している。

・脳幹は、延髄、橋(きょう)、中脳、視床下部、視床によって構成されている。脳幹は生命活動の中枢であり、心の三要素のうち「欲望」を生み出している

・大脳辺縁系は帯状回、海馬、扁桃体、側坐核などからなり、記憶、やる気、好き・嫌い、怒り、恐怖などに関連する場所。心の三要素のうち「感情」を生み出している

・大脳皮質はヒト特有の思考や知覚、記憶、言語など高度な活動を行っている。大脳皮質で最も重要なのは前頭前野。前頭前野は知性や理性、創造性を担う脳の最高中枢。心の三要素の「理性」は前頭前野で生み出されている。

スポンサーリンク
記事内広告
記事内広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連記事