【実験結果】心配性な人は扁桃体が過敏で強い。実験結果を交えながら心配性な人の大きな特徴を二つ紹介します。

さて、今回は扁桃体と前頭前野に関する記事の第3回目。

今回は不安や恐怖といった感情が人一倍強いという「心配性」な人の特徴を二つ紹介したいと思います。

慢性的な不安感、また、強い不安感に悩まされている「心配性」な方と普通の人とを比べてみると大きな二つの違いがあることが分かっています。

それは不安感が強い心配性な人ほど「恐怖を認識する能力が高い」ということ。そして、「扁桃体の活動が過敏で強い」ということ。

今回の記事では実験の結果を交えながら心配性な人におけるこの二つの特徴について解説していきます。

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心理学的に心配性な人とは。特性不安と状態不安について

本題に入る前提として、まずは心理学用語について少し解説していきます。

人は時に不安にさいなまれたり、慣れない状況に直面すると動揺することもあります。これは人として当然のことであり、このこと自体は正常で何ら問題もありません。

ですが、不安や恐怖を感じることが人よりも多い、常に不安や恐怖が頭の中をグルグル回る、心配事が多くて夜もしっかりと眠れない。という人がいるように不安や恐怖というネガティブ感情の感じ方には個人差があり、一般の人よりも不安や恐怖に心を支配されやすい「心配性な人」も存在します。

心理学では不安を「特性不安」と「状態不安」という二つに分類して考えます。

特性不安とは持続的な不安度のことであり、簡単に言うと、日常的な不安の感じやすさ。

心理検査の結果、特性不安度が高い人ほど日常的に不安におちいりやすく、また、些細なことでも不安や恐怖を感じる傾向が強いといえます。繊細で神経質な性格の人といえますね。

対して「状態不安」は状況による一過性の不安。例えば、ピアノの発表会の前で緊張する、テスト前に不安になる、雷が落ちるのを見て怖くなる。などのように原因がはっきりと分かっている場合に起こる不安です。

特性不安が「日常的な不安の感じやすさ」なのに対して、状態不安は「今この瞬間に自分はどんな不安を感じているか」という不安を示します。

さて、この特性不安度と状態不安度に着目した非常に興味深い実験があります。

実験の結果、特性不安度が高い人ほど恐怖を感知する能力が普通の人よりも高いことがわかりました。また、別の実験では、状態不安度の高い人ほど扁桃体の活動が過敏で強いということが分かりました。

特性不安度が高い人は恐怖を認識する力が強い

それでは、実験の内容を確認していきましょう。

参考図書「脳科学は人格を変えられるか? 著 エレーヌ・フォックス p171」

一つ目はサザンプトン大学に拠点をおくカリン・モッグとブレンダン・ブラッドレイという二人の心理学者が行った実験。

彼らは危険をあらわす様々な写真を用いた実験を行いました。写真が表す危険度は様々で、切断された肉体や殺人事件の被害者など非常にネガティブで強い恐怖をかりたてる写真もあれば、銃を持った兵士の姿など、それほど強い不安をかきたてない写真もありました。

※ちなみに不安や恐怖に関する実験をするときは、被験者を実際に恐怖に陥れるのは倫理的に制約があるので、このように恐怖を連想させるような恐ろしい写真を被験者に見せることによって被験者の恐怖の感情を引き出します。

また、実験前には事前に何百枚もの写真を人々に見せてそれぞれの恐怖度を評価させ、「非常に恐ろしい」「やや恐ろしい」「中立的」の三つに分類しました。

実験の結果、非常に恐ろしい写真にはすべての被験者が注意をひきつけられてことが分かったのですが、それほど恐怖が高くない写真にも注意が向かったのは、特性不安度の高い被験者だけでした。

つまり、大きな危険には誰しもが反応するのですが、特性不安度の高い人は普通の人に比べ、警戒モードに切り替わる下限が低いことが確認されたのです。

日常的に不安を感じることが多い特性不安度が高い人は、普通の人が

「こんなの怖くないよね?」「この程度のこと気にすることじゃないよ」

とスルーしてしまうことにも「大丈夫かな?」「やっぱり心配だな…」とつい過剰反応してしまうということですね。

特性不安度の高い人は普通の人より恐怖を認識する能力が高い(=危険を過剰認識してしまう)ということがいえるのです。

「見えない」はずの危険が見える人

二つ目は「注意の瞬き」という実験。

参考図書「脳科学は人格を変えられるか? 著 エレーヌ・フォックス p173」

この実験では、まず、コンピューターの画面にあらわれる一連の顔写真の中に、感情のある顔がひとつ混じっているかどうかを判定するという一見簡単な課題を与えました。

パッパッパと中立的な表情の写真が現れる中で、時に幸福な表情の顔写真か、恐怖の表情の顔写真が紛れ込んでいるのを見極めるという課題で、これ自体は、いったんスピードに慣れてしまうとそう難しいものではありません。

ですが、「顔写真の合間に顔以外の何か(花かキノコ)」が現れた場合は、それを特定するという条件をつけ、被験者が注意を払うポイントを二つに増やすととたんに難易度が上がります。

被験者はパッパッパと現れる顔写真のなかに何か他のもの(花かキノコ)が混じっていないかを見極めながら、同時に幸福な顔、恐怖の顔が出てこないかも同時に見極めるということになりますね。

確かに想像してみるとこれは難しい(´・ω・`)

実験の結果として、顔以外の何か(花かキノコ)が現れてから0.5秒以内に感情のある顔が出てきた時は、ほとんどの人がそれを完全に見落としてしまいました。顔以外の何か(花かキノコ)に気を取られて、その直後にでてくる幸せな顔、恐怖の顔を見極めることができなかったのですね。

ですが、興味深い結果が出たのは、この実験を特性不安度の高いグループと低いグループで分けたときのこと。特性不安度が高いグループは低いグループに比べ、恐怖の表情の写真を高い確率で発見できたのです

もちろん、特性不安度が高いグループでも見落としがたくさんありましたが、それでも特性不安度が高い人々は恐怖の表情を感知する能力が高いということが分かりました。

特性不安度が高い人は瞬間的すぎて「見えない」はずの危険をより多く認知していたということです。

この実験の結果からも特性不安度の高い人ほど、一般の人に比べて恐怖を認識する力が強いということが分かります。

状態不安度が高い人ほど扁桃体の働きが過敏で強い

最後に紹介するのは実際の脳の活動を調べた実験。実験を行ったのはオックスフォード大学教授のエレーヌ・フォックスとケンブリッジ大学のアンディ・カルダーおよびマイク・ユーバンク。

参考図書「脳科学は人格を変えられるか? 著 エレーヌフォックス p175」

実験は脳スキャナーの中に仰向けに寝た被験者に、様々な表情の顔写真を見せ、脳の反応を計測するというもの。顔写真には、怒りや恐怖の表情のものもあれば、中立的な表情のものもあります。

同書によると、恐怖や怒りの表情を目にすると被験者の扁桃体が発光するのはこれまでの実験結果からも分かっていたとのことです。これまで紹介したとおり、扁桃体は恐怖を生み出す場所でしたね。

しかし、興味深い実験結果が出たのは、顔写真の視線の向きを変えることにより被験者が感じる恐怖の度合いを変えた時のこと。

別の実験により、こちらを直視している怒りの表情の写真がいちばん強い脅威になることが判明しているのですが、この不安度がいちばん高い顔写真への反応には状態不安度の高い人と低い人で明確な違いが見られました。

怒りの表情でこちらを直視されたとき、扁桃体および関連する領域(恐怖回路と呼ばれる)は、即座に活動体勢に入りました。そして、この反応は、被験者の状態不安度が高いほど強く現れました。

つまり、状態不安度の強弱は、扁桃体をはじめとする恐怖回路の反応性に明らかに関連していたということ。

状態不安度の高い人ほど、扁桃体が普通の人より過敏に、かつ強烈に作動しているということが確認されたのです。

まとめ

今回の記事で紹介した実験の結果より、「いつもどんな不安を感じているか」という特性不安度が高い人ほど恐怖を認識する能力が高いということがわかりました。

また、別の実験では「今この瞬間に自分はどんな不安を感じているのか」という状態不安度の高い人ほど、扁桃体の活動も過敏で強いということもわかりましたね。

この特性不安度と状態不安度を測定するSTAIという検査はその人の不安度を測定する検査です。ですので、不安感が人一倍強いという心配性・不安症な人ほど恐怖を認識する能力が高く、扁桃体の活動も過敏で強いということがいえるのですね。

また、一般的にも、過度な不安や恐怖が症状であるうつ病、不安障害やPTSDといった精神疾患においても、扁桃体の活動が過剰であること知られています。

さて、この事実を聞くと「確かに私は人よりも不安や恐怖を感じることが多い。私はもしかして扁桃体の働きが過敏で強いのかもしれない。。」

「でも、そんなのどうすればいいの?解決策なんてあるの?」

と心配になる方もいるかもしれません。

ですが、安心していただきたいのは、解決策はしっかりと存在します。

このように原因が明確に分かれば分かるほど、漠然としている「心配性」といった不安気質に対して効果的な対策を取ることができるようになっていきます。

その効果的な対策を取る上でひとつの鍵となる脳部位が前頭前野。次回の記事では扁桃体の活動を抑制する前頭前野について紹介していきたいと思います。

興味のある方は是非次の記事もどうぞ!(^ω^)

~記事の要約~

・「いつもどんな不安を感じているか」という特性不安度が高い人ほど恐怖を感知する能力が普通の人よりも高かった。

・大きな危険には誰しもが反応するが、特性不安度が高い人は普通の人がさほど脅威を感じないことにも注意をひきつけられる。つまり、危険を過剰認識する傾向があるといえる。

・「今この瞬間に自分はどんな不安を感じているか」という状態不安度が高い人ほど、脅威を感じたときの扁桃体の働きが過敏で強かった。

・総じて不安度が人一倍強い心配性・不安症な人ほど脅威を認識する能力が高く、扁桃体の働きも過敏で強い

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