ノルアドレナリンが不足したり過剰になるとどうなる?ノルアドレナリンの作用とバランス調整の方法

今回は神経伝達物質「ノルアドレナリン」について解説していきます。

ノルアドレナリンは前回紹介した「ドーパミン」と同様に、私達の心の状態に非常に大きな影響を与えています。

ノルアドレナリンが引き起こす主な感情は「怒り」と「恐怖」。怒って頭がカーッとなっているとき、恐怖に身がすくんでいるとき、脳内ではノルアドレナリンが活発に働いています。

ノルアドレナリンの作用にくわえ、ノルアドレナリンが過剰分泌したとき・不足したときの症状と対策もまとめてみました。是非ご覧ください!

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ノルアドレナリンの主な作用

ノルアドレナリンを放出する「ノルアドレナリン神経」は青班核を起点として、大脳皮質、間脳、嗅脳、小脳、中脳など脳の広範囲に軸索を拡げています。

ノルアドレナリン神経のイメージはこちらが分かりやすいので引用させていただきます。

引用:管理薬剤師.com

ノルアドレナリン神経が青班核を起点とし、脳全体に広がっているのがよくわかりますね。

ノルアドレナリンの主な作用は恐怖、怒り、不安、注意、集中、覚醒、鎮痛です。

ノルアドレナリンが特に活躍するのは緊急時

例えば登山中に大きな熊に出会ったとします。

このような緊急時に脳内では大量のノルアドレナリンが分泌されます。緊急時に不安や恐怖で頭がいっぱいになるのはノルアドレナリンの作用によるものです。

同時に、ノルアドレナリンには覚醒作用があり、思考や意識が活性化されます脳の活動や集中力が高まり、危機を切り抜けるために頭がフル回転しはじめます。

ノルアドレナリンが作用を及ぼすのは脳だけではありません。ノルアドレナリンは交感神経でも生成されています。交感神経を刺激することによって以下のような身体変化が起こり、体を臨戦態勢に切り替えます。

・すばやく動き、的確な判断をくだせるように、全身の筋肉や脳へ大量の血液が行き渡る。

・周りの状況や相手の動きをよく見ることができるように瞳孔が拡大する

・胃での消化など必要のない活動が抑制される

・体温の上昇を抑えるために汗が出る

・皮膚の血管が収縮し、傷をおったときにも出血を抑える。また、怪我をしてもあまり痛みを感じないようにする鎮痛効果が生じる。

大きな熊に出会っても、「心身ともにリラックス・のんびり休憩モード」では一目散に逃げることもできず、命を落としてしまう危険もありますね。

ノルアドレナリンの働きによって心身機能が高まり、私達は目前の危機に対して適切な行動(闘って排除するのか、全力で逃げるのか)を取ることができるようになります。

現代と違い過酷な自然環境を生き抜いてきた我々の祖先は常に生命の危機と隣り合わせでした。

私達、人間が生き延びてこれたのはノルアドレナリン神経の働きのおかげといっても過言ではありません。

仕事中も活躍するノルアドレナリン

ノルアドレナリンは仕事中にも活躍しています。

ノルアドレナリン神経には脳に適度な緊張をもたらし、「ワーキングメモリー」の働きをスムーズにする作用があります。

ワーキングメモリーとは書籍「脳からストレスを消す技術」によると

「一瞬にしていろいろな情報を分析し、経験と照らし合わせることによって、最善の行動を選択する」という機能

引用:脳からストレスを消す技術 p94 著 有田秀穂

とのこと。

分かりやすいように実例をあげて説明しますね。

例えば仕事で部下から「私はどの仕事をしたほうがいいでしょうか?」と聞かれたとします。

返答を考えているとき、頭の中では

1,Aの仕事は午前中に終わらせないといけない

2,Aの仕事は作業が複雑だ。

3,Bの仕事は午後までに終わらせればよい

4、Bの仕事は作業が単純だ

5、Cの仕事の納期は明日。まだ手をつけなくていい

6、部下はまだ仕事に慣れておらず、たまにミスをすることがある

と、様々な情報を思い起こしながら分析していますね。

その結果、部下にはBの仕事を任せるのが最善だと判断し、「Aの仕事は私がやるので、Bの仕事をお願い」と伝えます。

このように何気ない返答ひとつを取っても、脳の中では、様々な情報(=記憶)を元に分析・判断し、最適な答えを導き出していることがわかります。この機能こそがワーキングメモリーです。

ワーキングメモリーの働きは仕事や家事、車の運転、勉強など日常のあらゆるところで必要となってきます。

ワーキングメモリーの働きがスムーズであればあるほど、効率よく作業をこなせるようになります。

ノルアドレナリンにはこのワーキングメモリーの働きをスムーズにする働きがあります。

ですので、ノルアドレナリンが適度に分泌されている人ほど、テキパキと仕事をこなせる「仕事のできる人」ということができますね。

また、ノルアドレナリンには適度な興奮と集中力を高める効果もありますので、仕事に熱中しているときほど脳内ではノルアドレナリンが活発に働いています。

ノルアドレナリンの過剰分泌によって起こる症状とその原因

上記のように、ノルアドレナリンは適量であれば、仕事をテキパキと進め、いざというときに危険から身を守ってくれる非常に有益な神経伝達物質といえます。

しかし、ノルアドレナリンが過剰に分泌され続けると様々な悪影響が出てきてしまいます。

ノルアドレナリンの過剰分泌による症状としては、イライラしやすい、落ち着きがなくなる、攻撃性が増すなどが上げられます。

ノルアドレナリン過剰による脳の興奮をコントロールできなくなってしまうのですね。

ノルアドレナリンが過剰となる主な原因はストレスです。

ノルアドレナリンはストレスに反応して分泌されるという特徴があるため、強いストレスを受け続けるとノルアドレナリンの分泌も過剰になってしまう恐れがあります。

ノルアドレナリンの過剰分泌を防ぐ方法

ノルアドレナリンの過剰分泌を防ぐ方法として重要となってくるのが、

①原因となるストレスを軽減するように心がけること。

神経伝達物質「セロトニン」を増やすこと

前回もお話しましたが、セロトニンにはドーパミン神経とノルアドレナリン神経の暴走を抑え、神経伝達物質のバランスを整えてくれる作用があります。

つまり、一定量のセロトニンが規則正しく出ることによって、セロトニン神経は、ドーパミン神経やノルアドレナリン神経の過興奮を抑え、脳全体のバランスを整え、「平常心」をもたらすという働きをしているのです。

引用元:「脳からストレスを消す技術」 p99 著 有田秀穂

セロトニンを増やすことによって、ノルアドレナリン神経の過興奮がおさまり、ノルアドレナリンのバランスも整います。

ストレスを減らすといっても、現実的には限界もありますね。ですので、積極的にセロトニンを増やしていくことも重要となってきます。

セロトニンを増やす方法についてはセロトニンに関する記事でお話ししますね。

ノルアドレナリンの不足によって起こる症状とその原因

ノルアドレナリンが不足しても抑うつ感、ストレス耐性の低下、集中力の低下などの症状につながり、心身に悪影響を及ぼしてしまいます。

また、うつ病や不安障害もノルアドレナリンの低下に原因があるのではないかと考えられています。

ノルアドレナリンが不足する原因のひとつとして考えられているのも過度なストレス。

継続的なストレスはノルアドレナリンが常に放出している状態となり、それが続くとノルアドレナリンの生成が追いつかずに減少してしまうと考えられています。

ストレスはノルアドレナリンの放出を促進するため、継続的なストレスはノルアドレナリンを常に放出している状態になり、ノルアドレナリンの生成が追い付かずに減少してしまうのだ。

引用:「マンガでわかる神経伝達物質の働き」 著 野口哲典

動物実験では、長時間回避不能のストレスにさらされた動物は、やがて無痛覚の症状に至り、ストレスを回避する行動をやめてしまうということが確認されています。

これはドーパミンの記事でもお話しましたが、神経伝達物質は多すぎても少なすぎても何らかの悪影響を心身に与えてしまいます。

ノルアドレナリンにとっても一番大切なのは「バランス」ということになりますね。

ノルアドレナリンを増やし、不足を解消する方法

ノルアドレナリンを増やし、ノルアドレナリン不足を解消する方法としては、ストレス管理があげられます。

ノルアドレナリンはストレスに反応して分泌されるため、ストレス社会ともいわれる現代で生活している私達は常にノルアドレナリン分泌の機会にさらされているということになります。

ですので、不足におちいる原因のひとつとして考えられるのは過度なストレス。

ノルアドレナリン不足の方は、上記でも説明したとおり、継続的なストレスがかかることによってノルアドレナリンの生成が追いつかなくなっている可能性があります。

ストレスをしっかり管理し、適正レベルにとどめることがノルアドレナリンのバランス改善につながります。

ストレス管理の方法としては、「過度なスケジュール」や「人間関係の悩み」といったストレスを意図的に減らしていくことも、もちろん重要となってきます。

ですが、私としては、ストレスを減らす努力に加え、「自分にあったメンタルケアを会得する」という方法を推奨します。

ストレスを「意図的に減らす」といっても限界がありますし、生きている限りストレスは決してなくなりません。

ですので、ストレスを受け流せるようなタフな心を作っていくことも重要ということになりますね。

当ブログではメンタルケアとして呼吸法を推奨しています。呼吸法で質の良い呼吸を繰り返すと、不安やイライラがおさまり、ストレスが激減します。

(呼吸法は心の不調に悩まされている方に非常におススメです。私は呼吸法で心の病気をすべて完治させました)

次回の記事ではドーパミンとノルアドレナリンの量を調整する作用をもつ「セロトニン」について紹介していきます

まとめ

・ノルアドレナリンの主な作用は恐怖や怒り、不安、注意、集中、覚醒、鎮痛。

・ノルアドレナリンが特に活躍するのが緊急時。ノルアドレナリンの作用で心身機能が高まり、目前の危機に対して適切な行動を取れるようになる。

・ノルアドレナリンは仕事にもかかせない脳内神経伝達物質。ノルアドレナリンが適度に働いていると、ワーキングメモリがスムーズに働き、効率的に仕事をこなすことができるようになる。また、ノルアドレナリンの働きである適度な緊張と興奮、そして集中力の向上も仕事をする際に役立つ。

・ノルアドレナリンが過剰に分泌されると、イライラしやすい、落ち着きがなくなる、攻撃性が増すなどの症状につながる。

・ノルアドレナリンの過剰分泌を防ぐには「セロトニン」を増やすことが重要。セロトニンにはノルアドレナリン神経の暴走を抑え、神経伝達物質のバランスを整えてくれる作用がある。

・ノルアドレナリンが不足しても抑うつ感、ストレス耐性の低下、集中力の低下などの症状につながり心身に悪影響を及ぼしてしまう。また、うつ病や不安障害もノルアドレナリンの低下に原因があるのではないかと考えられている。

・ノルアドレナリンの不足を改善する方法として重要となるのが「ストレス管理」。継続的なストレスが続くとノルアドレナリンの生成が追いつかずに減少してしまうと考えられている。ストレスを適度にコントロールすることでノルアドレナリンの減少が抑えられ、ノルアドレナリンのバランス改善につながる

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