セロトニンとは。セロトニンの重要な5つの働きと、その作用についてまとめました

今回の記事では脳内神経伝達物質「セロトニン」について解説していこうと思います。

以前紹介したとおり、「ドーパミン」「ノルアドレナリン」といった神経伝達物質にとって一番大切なのはバランス。

ワクワク感や高揚感を与えてくれる「ドーパミン」、適度な緊張・興奮、集中力を与えてくれる「ノルアドレナリン」。

どちらも私達にとって有益な神経伝達物質ですが、過剰分泌などでバランスが乱れると心身に様々な悪影響を及ぼしてしまいます。

今回紹介するセロトニンにはドーパミンやノルアドレナリンの活動を調整し、バランスを整えてくれる作用があります。

セロトニンは精神安定には欠かせない脳内神経伝達物質です。しっかり学んでいきましょう。

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セロトニン神経とは

まずはセロトニンを放出する「セロトニン神経」からみていきましょう。

セロトニン神経とは、セロトニンを分泌する神経のことで、セロトニン神経の働きが活発になると、脳内のセロトニンが増えます。

セロトニン神経は脳の縫線核という場所にあり、セロトニンという神経伝達物質を使って脳の広い範囲に情報を送っています。

セロトニン神経が影響をおよぼす脳部位は大脳皮質、感情に関わる大脳辺縁系、生存そのものに関わる視床下部や脳幹、小脳、脊髄などほとんど脳全体におよびます。

セロトニン神経のイメージはこちらが分かりやすいので引用させてもらいます。

引用元:管理薬剤師.com

セロトニン神経が縫線核を起点とし、脳の広範囲に影響を与えていることがよくわかりますね。

セロトニン神経の数は数万個といわれており、これは脳全体の神経細胞の割合からすると非常に少ないです。

ですが、1つのセロトニン神経が万単位の神経細胞をコントロールし、脳全体に大きな影響を与えています。

セロトニン神経の特徴

①セロトニン神経は目覚めと共に活動しはじめる

セロトニン神経は睡眠と覚醒に深く関わっています。

セロトニン神経は朝、目が覚めると活動し始め、目覚めている間はずっと1秒間に2-3回の割合で、電気信号(インパルス)を出してセロトニンを放出しています。

逆に寝ているときはほとんど働かず、特にレム睡眠と呼ばれる深い睡眠時にはまったく働かないことが分かっています。

セロトニン神経は目覚めと共に活動し始め、私達が起きている間、絶えず働き続けているということになりますね。

②セロトニン神経はストレスに弱い

私達がストレスを受けると脳の視床下部にある「室傍核」とよばれる場所が興奮し、セロトニン神経の存在する脳幹・縫線核へ影響をおよぼします。

その結果、セロトニン神経の働きが抑制され、脳内のセロトニン分泌が落ちてしまいます。

ストレスとセロトニンの関係について詳しく書くと長くなってしまうので、また次の記事で紹介したいと思います。

ここでは、「ストレスはセロトニンの分泌レベルを落としてしまう」ということのみ抑えていただければ結構です

セロトニンの主な5つの働き

それではセロトニンの主な5つの働きを紹介します

①クールな覚醒

セロトニンの作用によって、大脳皮質の活動を適度に抑えつつ、その働きを高いレベルで維持することができます。これは人間の脳にとって理想的な覚醒状態をもたらします。

大脳皮質は言語や知性を司っている部分。他の動物に比べて私達が高度な知能を持っているのは、この大脳皮質が発達しているためです。大脳皮質には意識のレベルを調節する働きがあります。

セロトニンが分泌され大脳皮質に作用すると、脳はリラックスしながらも、一方で集中力が高まります。

セロトニンには、脳を落ち着いたクリアな状態(クールな覚醒)に導く働きがあるのです。

②交感神経を適度に興奮させる

セロトニンは交感神経を適度に興奮させ、副交感神経から交感神経へスムーズなスイッチングができるように働きかけます。

自律神経については以前お話しましたが、交感神経と副交感神経がどちらもバランスよくしっかり働いていることが重要。

交感神経が過度に興奮するとストレス状態となりよくありませんが、逆に交感神経の働きが低すぎると、体がだるくなる、うつうつとする、低血圧や冷え、といった不調に見舞われます。

セロトニンは交感神経を適度に興奮させることによって、体を活動に備えたスタンバイ状態にしてくれます。

夜間~就寝時は「夜の神経」ともよばれている副交感神経の働きが優位となっています。

セロトニンがしっかり分泌されていると、朝起きたときに交感神経が適度に興奮しはじめます。その結果、スッキリと目覚めることができ、日中の活動にも体がスムーズに移行することができます。

逆にセロトニンの働きが弱まると、寝起きが悪くなったり、自律神経の乱れによる体の不調につながります。

③心のバランスを保つ

セロトニンには、ドーパミン神経とノルアドレナリン神経に働きかけ、時に暴走しがちな両神経を適度な興奮状態にとどめてくれる作用があります。

神経伝達物質にとって一番大切なのは「バランス」です

セロトニンがしっかりと働くことによって脳内の神経伝達物質のバランスが整います。

日々生活していると、時にはワクワクして嬉しい気持ちになったり(ドーパミンの作用)、また、時には嫌なことがありイライラ・不安になったりもします(ノルアドレナリンの作用)。

人間の心はそういう風にできているので、これ自体は悪いことではありません。

しかし、感情のふり幅があまりに広く、いつまでも舞い上がっていたり、いつまでもイライラ、または落ち込んだりしているとなると話は別。

自分の気持ちをなかなかコントロールすることができなくなり、日常生活に支障をきたしてしまう可能性があります。

セロトニンにはそのような状態にならないように、心のバランスを保ってくれる作用があります。

脳にクールな覚醒をもたらし、ドーパミン神経・ノルアドレナリン神経の暴走を鎮めてくれることによって心のバランスを保ってくれます。

心に不安や恐怖を促すのはノルアドレナリンの働きです。

人よりも不安や恐怖が強い・常に不安が頭の中をグルグル回っているというネガティブ感情が強い方はノルアドレナリンの働きが過剰になっている可能性があります。

セロトニンをしっかり分泌させることを心がけたいですね。

④よい姿勢の維持

セロトニンが抗重力筋に働きかけることによって、よい姿勢をキープできるようになります。

抗重力筋とは、重力に逆らって動く筋肉のことです。立っている姿勢を保つこと、背筋を伸ばして正しい姿勢を保つこと、また、手や足を上げる動作も抗重力筋の働きによるものです。

その他にも、顔の筋肉にも抗重力筋が働いていて、笑ったときに口角が上がる、ほおが上がる、まぶたが動くのもこの筋肉の働きによるものです。

ですので、セロトニンがしっかりと働くほど、背筋がまっすぐ伸び、イキイキとした表情を保つことができるようになります。

逆に、セロトニンの働きが弱まると、背中が丸まったり、顔の表情にも覇気がなくなったりします。

背筋が伸び、姿勢がよくなると自然と心も前向きになりますね。

よい姿勢をキープするためにもセロトニンの働きは重要となってきます。

⑤痛みの感覚の抑制

セロトニンは「脳内の鎮痛剤」ともよばれており、セロトニンの働きが増すと痛みの感覚が抑制されます。

実験を引用で紹介しますね。

リズム運動のひとつである咀嚼にもセロトニン神経を活性化する効果があります。

そこで、20分間ガムを噛み続け、その最中にランダムに痛みを与えるという形で実験を行いました。

すると血液中のセロトニンの濃度が増加するのに反比例して、痛みの刺激に対する反射は減っていたのです。

引用:「朝5分間の幸運習慣 セロトニン生活のすすめ」 p43-44 著 有田秀穂

セロトニンが増加するに従って、痛みの感覚をコントロールできるようになったということですね。これはセロトニンが活性化することによって、痛みを伝える神経の伝導を抑えることができるためと考えられています。

逆にセロトニン神経が弱まると、ささいなことで痛みを感じるようになってしまいます。

大きな怪我でもないのに、ひどく痛みを感じる。また、自分は人よりも痛みに弱いと感じている方はセロトニン神経の働きが弱っている可能性があるといえます。

精神状態が悪いときほど、ちょっとしたストレス・刺激にも過敏に反応してしまうので同じ方も多いのではないかと思います。

痛みという身体のストレスは心のストレスにもつながります。セロトニン神経を活性化させることができれば、痛みを軽減でき、心のストレス軽減にもつながりますね。

まとめ

以上が脳内神経伝達物質である「セロトニン」の主な働きになります。

セロトニンの働きには精神安定やストレス対策として有益となるものが多いですね。

個人的に特に注目していただきたいのが、「脳内の神経伝達物質のバランスを整えてくれる」という作用。脳内の神経伝達物質のバランスが乱れると様々な心の不調につながります。

心が不安定という方ほどセロトニン神経を積極的に鍛えていく必要があるといえますね。

さて、このセロトニン神経は本文中でも紹介しましたが、ストレスによってその働きが弱まってしまうという特徴があります。つまり、ストレスが多いストレスフルな生活を送っている方ほどセロトニン神経の働きが弱っている可能性が高いということ。

次回の記事ではストレスが与えるセロトニン神経への影響について詳しく解説していきたいと思います。

~記事の要約~

・セロトニン神経は脳の縫線核という場所にあり、セロトニンという神経伝達物質を使って脳の広い範囲に情報を送っている。

・セロトニン神経は目覚めと共に活動し始め、起きている間たえず活動を続けている。

・セロトニン神経はストレスに弱い。ストレスによってセロトニン神経の働きが抑制され、セロトニンの分泌量が落ちてしまう。

・セロトニンの主な働き

「クールな覚醒」…大脳皮質に働きかけることにより、脳を落ち着いたクリアな状態に導く

「交感神経を適度に興奮させる」…セロトニン神経が交感神経を適度に興奮させてくれることによって、朝にスッキリと目覚めることができる。また、日中の活動にも体がスムーズに移行することができる。

「心のバランスを保つ」…セロトニン神経はドーパミン神経とノルアドレナリン神経に働きかけ、両神経のバランスを整えてくれる。

「よい姿勢の維持」…抗重力筋に働きかけるセロトニン神経が活性化すると、よい姿勢をキープできるようになる。また、顔の表情にも抗重力筋が働いているので表情もイキイキとしてくる。

「痛みの感覚の抑制」…セロトニン神経が活性化すると痛みを伝える神経の伝導を抑えることができ、痛みの感覚が抑制される。

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