胸式呼吸は危険なの?腹式呼吸との違いを解説しながら胸式呼吸のデメリットについてまとめます

今回は胸式呼吸について書いていきたいと思います。

呼吸関連の本を読んでいると胸式呼吸に関してはデメリットが並べられていることも多いです。

もちろん胸式呼吸には胸式呼吸の役割があり、胸式呼吸自体が悪いというわけではありません。しかし、日常の呼吸が胸式呼吸中心になっている方は注意が必要です。

そこで今記事では、胸式呼吸と腹式呼吸を比較しながら、一般に語られる胸式呼吸のデメリットについてまとめていきます。

最後に補足として胸式呼吸の本来の役割とメリットについてもふれています。

それではお付き合いください(^ω^)

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胸式呼吸とは

胸式呼吸は胸や肩回りの筋肉を使って行う呼吸です。

胸を使った呼吸ともいうことができ、呼吸する際に肩が上下に動くのが特徴です。

イメージとしてはこのあたりでする呼吸ということになりますね。

また自律神経のひとつである「交感神経」に作用します。

胸式呼吸の主な特徴は以下の通りです。

・胸や肩周りの筋肉を使った呼吸

・みためには肩が上下に動くのが特徴

・呼吸が浅く速くなる(後ほど説明します)

・交感神経を刺激する

腹式呼吸とは

腹式呼吸は横隔膜を使った呼吸です。

横隔膜とは肺の底に位置する筋肉の膜。呼吸においてメインの筋肉であり、主呼吸筋とも呼ばれています。

横隔膜のイメージはこちらです。

腹式呼吸では、この横隔膜が上下に動くことによって、肺に空気を取り入れたり、吐き出したりして呼吸をしています。

腹式呼吸は厳密にいうと横隔膜を使った呼吸なのですが、見た目にはお腹が動くので、イメージとしてはおなか周辺で行う呼吸といえますね。

また、自律神経のひとつである「副交感神経」を刺激します

腹式呼吸の特徴は以下の通りです。

・横隔膜を使った呼吸

・みためにはお腹が前後に動く

・深く、ゆったりとした呼吸になる

・副交感神経を刺激する

自分の呼吸が胸式呼吸か腹式呼吸か確認する方法

今、自分が胸式呼吸か腹式呼吸をしているのかを確認するのは簡単です。

お腹に手を当ててみて、呼吸と共にお腹が動いていれば腹式呼吸。逆に、ほとんどお腹が動いていなければ胸式呼吸ということになります。

自分の呼吸はどっちだろう?

と気になった方はチェックしてみてください。

胸式呼吸では、呼吸が「浅く速く」なる

私達が普段無意識に行っている呼吸は、胸式呼吸と腹式呼吸が混合した胸腹式呼吸といわれています。

ですが、ストレスや運動不足、パソコン作業といったデスクワークの増加などが原因で、普段の呼吸が胸式呼吸中心になっている方が増えてきています。

胸式呼吸では呼吸が浅く速くなりがちです。

書籍 『自律神経を整える「長生き呼吸」』 によると、

胸腹式呼吸の呼吸量が0.8リットルに対し、胸式呼吸の呼吸量は0.4リットル。

つまり、胸式呼吸では、普段無意識に行っている胸腹式呼吸の半分しか肺に空気が出入りしてないことになります。

胸式呼吸では一度に取り込める酸素の量が十分でないために、呼吸回数を増やして酸素を補おうとします。

その結果、呼吸が浅く速くなります。

「浅く速い呼吸」は身体にとってよくありません。

多く語られる胸式呼吸のデメリットはこの「浅く速い呼吸」が続くことです。

医師の坂田隆夫さんによると、実際に病院にくる患者さんには胸や肩で「浅く速い呼吸」をしている方が多いそうです。

循環器内科の医師として、主に不整脈の臨床に携わる私が、呼吸に関心を持ったのは、臨床現場での患者さんたちの様子がきっかけでした。彼らの多くは、ハッ、ハッ、ハッと、短く胸や肩で息をするような、浅くて速い呼吸をしていたのです。

もちろん、病気の影響もあるでしょう。しかし、「息苦しい」「胸が詰まる」といった呼吸困難感や動悸感で受診し、検査の結果、心肺機能に異常が見つからなかったかたでも、浅くて速い呼吸をしている例が多かったのです。

引用:自律神経を整える「長生き呼吸」 著 坂田隆夫

浅く速い呼吸の弊害

胸式呼吸による「浅く速い呼吸」の弊害を紹介します。

1、体の細胞に酸素が行き渡らない

私達の体は数十兆個ともいわれる細胞から成り立っています。皮膚、筋肉、臓器、すべてが細胞でできています。

そのひとつひとつの細胞がきちんと機能するためには、十分な栄養と酸素が必要です。

私達はその酸素を呼吸によって取り込み、血液の流れにのせてそれぞれの細胞に運んでいます。

ですが、胸式呼吸の「浅く速い呼吸」では細胞へ十分な酸素が供給されません。

細胞へ供給される酸素が不足すると細胞の機能は低下します。

細胞の機能低下は組織や体全体の抵抗力を落とす可能性があります。

その結果、疲れやすく、病気になりやすい身体になり、老化を早める原因になってしまいます。

2、自律神経のバランスが乱れやすい

「浅く速い呼吸」は交感神経を刺激します。

交感神経とは自律神経のひとつで、身体をアクティブな状態に切り替える働きをもっています。

交感神経は「昼間の神経」ともよばれており、日中、私達がエネルギッシュに活動する際に交感神経の働きは不可欠です。

ですが、交感神経はストレスに反応して働きが高まるという性質があり、「ストレス社会」ともよばれる現代に生きる私達は交感神経の働きが過剰になりがちです。

交感神経が過剰に優位になり、自律神経のバランスが乱れると、血流の悪化、イライラ、便秘、肩こり、冷え……といった様々な心身の不調を引き起こしてしまいます。

日常的に「浅く速い」胸式呼吸が続くと、交感神経の働きに拍車がかかり、自律神経のバランスが乱れやすくなります。

胸式呼吸が常態化する原因

それでは何故、胸式呼吸による「浅く速い呼吸」が日常の呼吸として常態化してしまうのでしょうか。

その主な原因としてあげられるのが「ストレス」「運動不足」「姿勢の悪化」。

1、「ストレス」

人間関係の悩みや仕事のプレッシャーといったストレスは交感神経を刺激します。

ストレス状態が続き、交感神経優位の状態が続くと、体の緊張が高まり、呼吸が浅く速くなります。

ストレスや不安、緊張を感じたときに、息苦しさを感じることがあるのも、交感神経が優位になりすぎているのが原因のひとつ。

交感神経が優位になって呼吸が浅く速くなれば、呼吸筋(呼吸に使われる筋肉)の速い運動に刺激されて、交感神経は更に優位になると考えられます。

その結果、呼吸はますます浅く速くなるという負の堂々巡りとなってしまいます。

2、「運動不足」

呼吸に使われる筋肉「呼吸筋」は運動不足によって衰えてしまいます。

例えば、腸腰筋のひとつである大腰筋は横隔膜と連結している筋肉で、歩行時に足を前に振り出す際にも使われてます。腸腰筋と連動して、背中側から横隔膜を引っ張って動かす多裂筋は、スポーツをする際に、状態を安定させる働きがあります。

呼吸に使われる「呼吸筋」は身体を動かす際にも使われているので、あまりに身体を動かさない運動不足の生活が続いてしまうと呼吸筋も衰えてしまいます。

坂田隆夫医師によると、循環器内科にくる原因不明の呼吸困難感を訴える方に共通しているのは、「運動不足」とのことです(自律神経を整える「長生き呼吸」p103参照

呼吸筋が衰えると、肺に入る空気が少なくなり、呼吸が浅くなります。

呼吸が浅くなると、1回の呼吸で体内に取り込める酸素量が減り、それを補おうとして呼吸が速くなります。

つまり、呼吸筋が衰えると呼吸が「浅く速く」なるのです。

「姿勢の悪化」

パソコン、スマートフォン、ゲーム器などの普及により姿勢の悪い人が増えています。

これらの機器を使用する際には、背中が丸くなりがちです。

このような悪い姿勢も、呼吸に使われる「呼吸筋」が衰える原因につながると考えられています。

助間筋や多裂筋、腸腰筋といった呼吸筋の多くは、背筋を伸ばし、姿勢を維持する際にも使われる筋肉です。

背中の丸まった悪い姿勢が続いてしまうと、これらの呼吸筋が衰えてしまう可能性があります。

また、背中が丸まり、骨盤が大きく後ろに傾いた「猫背」の姿勢では、横隔膜が上がりきったまま、下がりづらくなります。

横隔膜がこのような状態では、息を十分に吸うことができず、その結果、無意識に呼吸が浅く速く変化します。

姿勢の悪化は「浅く速い呼吸」につながるのですね。

女性は胸式呼吸が多い?

以上の三つが、普段の呼吸が胸式呼吸による「浅く速い呼吸」となってしまう主な原因です。

それに加え、女性には胸式呼吸が多いともいわれています。

平成22年の厚生労働省の調査によると、肩こりの自覚症状は女性の方が男性の2倍となっています。肩こりの原因は様々ではあるのですが、胸式呼吸が続くことによって肩や首まわりの筋肉が緊張したままになっているのも原因のひとつではないかと考えられています。

女性に胸式呼吸が多い理由としては、「運動不足による横隔膜の筋力低下」、「コルセットや細いパンツを履くことによる腰周りの圧迫」などが上げれれます。

また、他にも女性は赤ちゃんに負担をかけないように胸式呼吸中心になるとも言われているようです。妊娠したときに腹式呼吸で横隔膜が大きく動くと赤ちゃんに負担がかかるので、それを防いでいるとのことですね。

浅く速い呼吸を防ぐ対策

浅く速い呼吸が染み付いてしまうと、体の細胞に十分な酸素が行き渡らす、自律神経のバランスの乱れにもつながります。

心身の不調につながる可能性があるので、

「何がこれといった原因があるわけではないけど、心身の調子が悪い」

「言われてみると私は呼吸が浅いかもしれない」

という方は気をつけたほうがいいですね。

浅く速い呼吸を改善するためにまずできるのは、「姿勢を正すこと」、「運動不足を解消すること」

これらの二つは浅く速い呼吸につながる原因でしたね。

また、呼吸法で息を長く吐くことも、呼吸に使う呼吸筋を鍛える効果があるので、こちらもオススメです。

呼吸法を続けていると背筋も自然と伸びるので、姿勢の矯正にもつながります。

自身の呼吸に疑問をもたれた方は、できる範囲からでいいので呼吸を改善するよう働きかけてみましょう

胸式呼吸の役割。人間本来の呼吸は腹式呼吸。胸式呼吸は「補助」の呼吸。

以上が胸式呼吸による「浅く速い呼吸」が続くことによるデメリットとその対策となります。

ですが、ここまでデメリットばかり並べると

「じゃあ、何で胸式呼吸って存在するの?」

という疑問もでてくると思いますので、最後に胸式呼吸の役割について説明しますね。

人間が本来もっている自然な呼吸は腹式呼吸だとされています。

息を吸って吐くリズムに合わせてお腹が動いているはずです。この腹式呼吸こそが、本来の自然な呼吸なのです。

引用:医者が教える正しい呼吸法 著 有田秀穂

赤ちゃんの呼吸は腹式呼吸です。また、イヌ、ネコをはじめ、ほとんどの哺乳類も自然と腹式呼吸をしています。

対する胸式呼吸の役割は「補助的な呼吸」

体が急激に酸素を求めているときに、自然な腹式呼吸では足りない酸素を補うというのが本来の胸式呼吸の役割。

サッカーや格闘技などでは、後半の疲れてくる時間になるほど、肩を大きく上下させながら呼吸している姿が目立ちますね。

これは走ったり、体を動かしたりして体に酸素が足りなくなったために、胸式呼吸で酸素を補っているのです。

また、ラジオ体操の深呼吸も胸式呼吸の代表格。体操によって酸素が足りなくならないように胸式呼吸で酸素を補っています。

このように胸式呼吸の本来の役割は「補助としての呼吸」。

決して胸式呼吸自体が悪いというわけではないのですが、「補助としての呼吸」である胸式呼吸が日常の呼吸として常態化してしまうと、前述したような様々な弊害につながってしまうのですね。

補足:胸式呼吸も正しく行えば健康効果あり

胸式呼吸も正しい呼吸法で行えば健康効果がみこめます。

ピラティスでは胸式呼吸による呼吸法が推奨されていますね。

・体が活性化される

・やる気が出る

などの効果があるようです。

胸式呼吸では交感神経の働きが優位になるので、交感神経のメリットを受けられるのですね。

腹式呼吸による呼吸法が心身をリラックスさせるメリットがあるのに対し、胸式呼吸による呼吸法は心身をアクティブにするメリットがあるようです。

興味のある方は書籍や指導者から学ばれてみてください

まとめ

・胸式呼吸は胸や肩回りの筋肉を使って行う呼吸。交感神経を刺激し、呼吸が浅く速くなる

・腹式呼吸は横隔膜を使った呼吸。副交感神経を刺激し、呼吸は深くゆったりとしている。

・胸式呼吸の浅く速い呼吸では「体の細胞に酸素が十分に行き渡らない」「交感神経が過剰に優位になる」など身体に悪影響を及ぼす

・胸式呼吸の浅く速い呼吸が常態化する主な原因は「ストレス」「運動不足」「姿勢の悪化」。また、女性は生来的に胸式呼吸になりやすいとも言われている

・浅く速い呼吸を治すには「運動不足の解消」と「姿勢の矯正」。また、呼吸法で長くゆっくり息を吐くと呼吸に使われる筋肉「呼吸筋」が鍛えられ、自然と背筋も伸びるのでこちらもオススメ。

・人間本来の呼吸は腹式呼吸。胸式呼吸は「補助」の呼吸。

・胸式呼吸も正しく行えば健康効果あり。交感神経の働きによって心身をアクティブにする作用がある

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