セロトニンは本当に幸せホルモン?不安が増強されるという実験も…。様々な実験結果を交えてセロトニンについて詳しく解説します

今回はセロトニンの働きについて詳しく解説していきたいと思います。

セロトニンはよく「幸せホルモン」「幸福ホルモン」とよばれており、メンタル向上効果をとりあげられることが多いですね。

当ブログでもセロトニンは精神安定に重要な神経伝達物質として積極的に増やしていくことを推奨しています。

ですが、実はセロトニンに関しては様々な実験結果があり、「セロトニンを増やしたら不安が増強された」というような実験も多いです。

今回はセロトニンに関する様々な実験を紹介しながら「セロトニンは本当に幸せホルモンなのか?」ということを探っていきたいと思います。

後半では私がセロトニンを増やすことを推奨している理由も述べていきたいと思います。

是非お付き合いください(^ω^)

※実験は以前ブログで紹介したものも含みます。再度掲載になりますが、おさらいとして読んでいただければなと思います。

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セロトニンはなぜ幸せホルモン?

それではまず、なぜセロトニンは「幸せホルモン」と呼ばれているのかみていきましょう。

これに関しては、やはり脳内のセロトニン濃度を高める薬が抗うつ薬に使用されていることが一番の要因ではないかと思います。

抗うつ薬によく用いられるSSRIはセロトニンを再取り込みする「セロトニントランスポーター」に作用し、セロトニンの再取り込みを阻害することで、脳内のセロトニン濃度を高めます。

SSRIはセロトニンを増やす薬ということですね。

このセロトニンを増やすSSRIなどの薬がうつ病の治療に使われていることがセロトニンが「幸せホルモン」とよばれる一番のゆえんではないかと考えられます。

また、SSRIは社会不安障害といった不安障害の治療にも用いられています。

・セロトニンを増やす薬がうつ病・不安障害に使われている。

→セロトニンが増えると抑うつ状態・不安状態が改善される。

→セロトニンは抑うつ・不安状態を改善する「幸せホルモン」だ!!

このように言われるとセロトニンは「幸せホルモン」なんだなと納得される方も多いのではないでしょうか。

セロトニンが増えたら不安が増強した?マウスを使ったセロトニンに関する様々な実験

ですが、セロトニンには異なる結果を示す数多くの実験が行われています。

例えば北海道大学が行ったこちらの実験では、脳の正中縫線核という場所のセロトニン神経を活性化させると、マウスが不安行動を示すことが分かりました。

セロトニン神経を活性化させるとセロトニンの分泌量は増えます。つまり、「セロトニンが増えたらマウスが不安行動を示した」という実験ですね。

ん?セロトニンが増えるとラットが不安行動を示す?

セロトニンが幸福ホルモンだと教えられてきた私達からすると

工工工エエェェ(´д`)ェェエエ工工工

という内容ですね。

2006年の少し古い実験ですが、似たような実験としてはこちらも。

こちらの実験では、5-HT2Aというセロトニンを受けとる受容体を欠損させたマウスを作成しました。これは簡単に言うと、セロトニンを一部働かないようにしたマウスを作成したということです。

するとこのマウスは1つのリスク(不安)に対して2つ以上の選択肢があった場合、葛藤もせず高いリスクをとるようになりました。

つまり、セロトニンを一部働かなくしたら、マウスはハイリスクの選択肢を取るようになったということ。

これはセロトニンの不安軽減・精神安定効果と矛盾しますね。セロトニンが不安感をやわらげる精神安定剤なのであれば、セロトニンの働きが一部阻害されると、不安感が増し情緒不安定になるはず。

ですが、このマウスはハイリスクの選択肢を躊躇なく選ぶという、恐れを知らないイケイケ状態になってしまいました。

セロトニンに関する実験には他にも様々なものが存在します。

・セロトニン神経を活性化させたら、マウスが辛抱強くなった。(参考PDF

→セロトニンで自制心が強化させる?

・米軍兵士をボランティアとした調査で、すぐに暴力行為に到るケンカっぱやい人ほど、脳脊髄液中のセロトニン濃度が明らかに低かった。(参考図書:なぜ人はドキドキするのか?著 中西貴之)

→セロトニンが少ない人ほどケンカっぱやい

→セロトニンは脳の精神安定剤?

・ラットのセロトニン濃度を下げたら凶暴化した。逆にセロトニン濃度を上げたら攻撃行動が減った。(参考図書:脳はどこまでコントロールできるか?著 中野信子)

→セロトニンが少ないとラットが凶暴化。逆に多いとおとなしくなる

→セロトニンは脳の精神安定剤?

・高い攻撃性を示すマウスはセロトニンが増加していることが分かった(参考PDF
→上記の実験とは真逆。セロトニンで攻撃性が増す?

このような実験が並ぶと、もはや

「一体どういうことやねん(´・ω・`)」

という感じになってきますね(笑)

ですが、このように様々な実験結果が出てくるのには理由があります。それは、セロトニンを受けとる受容体が14種類あるということ。

セロトニンを受けとる14種類の受容体

ここでセロトニンの情報伝達について簡単に解説しますね。

セロトニンは神経伝達物質の一種。神経伝達物資とは簡単にいうと、脳内の情報のやり取りに使われている化学物質です。「脳内ホルモン」ともよくいわれますね。

セロトニンを含む神経伝達物質は受容体に結合することで、脳の神経細胞間の情報伝達を行っています。

文章だけで説明するのは難しいのでイラストを使って説明します。

セロトニンは脳の神経細胞の末端(シナプス前ニューロン)から放出され受容体へと向かっていきます。

そして、次の神経細胞(シナプス後ニューロン)にある受容体に結合することで情報を伝達しています。

これはどういうことかというと、セロトニンは受容体に結合することによってはじめてその作用を発揮するということです。

このセロトニンを受けとる受容体には14種類のタイプがあり、結合する受容体の種類によってセロトニンの作用が異なるといわれています。

つまり、セロトニンはどの受容体に結合するかによって作用が変わってくるということです。

(↑このように受容体には色々な種類がある)

主な受容体と作用は次のとおりになっています。

参考URL「セロトニン受容体作用とは?

1A受容体…情緒の安定/抗うつ・抗不安効果

1B受容体…脳血管の収縮/鎮痛効果

1D受容体…脳血管の収縮/鎮痛効果

2A受容体…神経の興奮・錐体外路でのドパミン抑制効果/不眠・性機能障害・錐体外路症状

2C受容体…食欲抑制・神経の興奮/食欲減退・不安

3受容体…胃腸・脳から嘔吐中枢を刺激/悪心嘔吐

4受容体…胃腸の動きを活性化/制吐効果

セロトニンは1A受容体に結合すると「情緒の安定/抗うつ・抗不安効果」などがみられ、2C受容体に結合すると「食欲抑制・神経の興奮/食欲減退・不安」が見られる。というように様々な働きをする神経伝達物質なのですね。

また、これらの受容体の分布は脳の各部位(場所)によって異なるといわれています。

例えば、1A受容体は脳の縫線核、海馬という場所に広く見られます。そして、1B受容体は黒質、海馬台。1D受容体は黒質、淡蒼球、基底核……

と脳の場所によって受容体の分布が異なるのです。

つまり、セロトニンは脳のどこで、どの受容体に結合するかでその働きが異なると考えれているのです。

このようなことから、「セロトニンには様々な作用がある」というのがセロトニンに対する現状の正しい認識となります。

ですので、「セロトニンが幸せホルモンなのか?」という問いの答えは、「セロトニンには色々な働きがありすぎてよくわかっていない」ということになりますね。

「なんじゃそりゃ!?」

と思うかもしれませんが、現状はこうなんですね(´・ω・`)

私がセロトニンを増やすことを推奨する理由

このようにまだまだ分かっていないことが多いセロトニンですが、当ブログでは基本的にセロトニンを増やすことを推奨しています。

その理由は次の二点です。

①実際にセロトニンが増えたとされる「運動や瞑想、呼吸法」などで精神改善効果が見られる

②増えたセロトニンが海馬の神経生成を促し、抑うつ改善に貢献しているということが研究の結果明らかになっている

以下、順に解説していきますね。

セロトニンを増やすことに興味がある方は参考にしていただければなと思います。

運動や瞑想、呼吸法でセロトニンが増えている

運動や瞑想、呼吸法を行うとセロトニンが増えることが確認されています。

運動の気分改善効果とセロトニンに関する実験を紹介します。

運動によるセロトニンシステムの活性化が不安を軽減する

この実験を要約すると次のようになります。

・被験者を運動するグループと運動しないグループに分かれて気分改善の実験を行った

・運動をするグループでは、運動習慣のある20歳代の男女に30分間、自転車こぎをしてもらった

・運動をしたグループでは不安が軽減し、活気が向上していた。これは運動しなかったグループには見られなかった

・運動したグループでは60分後の尿中セロトニンが有意に増加していた

・尿中のセロトニン量の変化率と、前帯状回の活動の変化率には強い負の相関があった。つまり、セロトニン生成量が増えるほど前帯状回の活動量が軽減する。

※前帯状回は情動反応を調節する働きがあり、「うつ病の責任領域」とも言われているとのこと。

運動をするとセロトニンが増加し、不安が軽減され気分も良くなったということですね。記事中にも書かれていますが、この実験により「運動することで気分がよくなるメカニズムとして、セロトニンの働きが重要ではないか」ということが考えられますね。

また、瞑想・呼吸法でもセロトニンが増えることが確認されています。

瞑想・呼吸法のセロトニン神経活性化に関する実験はこちら。

丹田呼吸法は前部前頭前野とセロトニン神経を活性化する

簡単に要約すると

・坐禅瞑想の呼吸法を20分繰り返した(被験者は坐禅未経験者)

・脳波にアルファ波が見られるようになった

・前部前頭前野の血流増加が確認された

・全血中のセロトニン濃度が増加した

・心理テストでネガティブな気分尺度の改善が認められた

とのことです。運動と同様に精神改善効果が見られ、同時にセロトニンも増加していたのですね。

瞑想の効能は広く知られ、最近では精神医療にも積極的に取り入れられています。

その瞑想時にもセロトニンは増えているということになります。

これらのことより、増えたセロトニンは何らかの形で精神向上に貢献しているのではないかと推測できます。少なくともセロトニンが不安を増強しているようには見えないですね。

※補足

実験の要約に「尿中のセロトニンが増加」「全血中のセロトニンが増加」とありますが、現状では生きた人間の脳内のセロトニン濃度を測るのは非常に難しいです。ですので、セロトニンの増減は尿や血液を検査することによって測ります。

ここについては「それで脳内のセロトニンが増えたっていっていいの?」という疑問も多くあります。ですが、セロトニンの研究をしている有田教授によると、ラットの消化管と腎臓を除去し、更に肝臓の血管を縛って実験したところ、やはり血中に増えたセロトニンは脳から分泌されていると考えられるとのこと。(参考:歩けば脳が活性化する 著 有田秀穂)

気になった方もいるかもしれませんので参考程度に。

運動で増えたセロトニンは海馬の神経生成を促していた!

「セロトニンが増えている運動、瞑想・呼吸法で精神改善効果がみられる」

とは聞いても、やはり「どのようにセロトニンが精神改善に貢献しているのか」というメカニズムが知りたいですよね

ですので、最後にセロトニンが精神改善に具体的にどのように作用しているのかを突き止めたこちらの研究を紹介します。

大阪大学の准教授・近藤誠氏が行った研究です。

運動と同じメカニズムの 抗うつ薬の開発に挑む 〜「脳を知りたい」知的好奇心が原動力〜 」

こちらの研究を簡単に要約すると

運動をすると、海馬でセロトニンが増える

→増えたセロトニンがセロトニン3型受容体にくっつく

→海馬の神経生成が増える

→うつが改善さえる

ということが分かったそうです。

厳密にいうと、運動で海馬のセロトニンが増える→神経生成が促される→うつが改善されるというのは以前から分かっていたのですが、そのメカニズムが解明されたということ。

運動で増えたセロトニンは海馬で神経新生を促し、それが抑うつ改善に効果を発揮していたということですね。

これまで漠然と「運動するとセロトニンが増えて抑うつが改善される」ということは分かっていたのですが、そのメカニズムのひとつが明確に示されたということになります。

うつ病の詳しい原因はまだ分かっていませんが、神経可塑性説というものがあり、健康な状態に比べて神経細胞が減少しているのが原因ではないかとも考えられています。

このような結果をみると、よく書籍やネットで見られる「セロトニンを増やしてメンタル改善!」には一定の効果があると考えられますね。

セロトニンには様々な作用があり、「幸せホルモン」なのかはまだわかっていません。

ですが、セロトニンは海馬で神経新生を促しているということもわかっています。

このような研究から、個人的には「メンタル改善のためにセロトニンは積極的に増やしたほうがいいよ!」ということになります(^ω^)

※当ブログではセロトニンを増やす方法として「呼吸法」を強く推奨しています。呼吸法とセロトニンに関して興味のある方はこちらの記事もどうぞ!

まとめ

・セロトニンを増やす薬がうつ病や不安障害に使われている。その作用からセロトニンは「幸せホルモン」「幸福ホルモン」ともよばれている。

・セロトニンには異なる結果を示す実験が数多く存在する。その働きはまだ分かっていないところも多い。

・セロトニンを受けとる受容体は14種類あるとされ、どの受容体に結合するかで異なる働きをする。

・運動や瞑想・呼吸法を行うとセロトニンが増えている。気分の改善に何らかの形でセロトニンが貢献していると考えられる

・運動で増えたセロトニンは海馬で神経生成を促し、抑うつ改善に貢献していた

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