最強の呼吸法?逆腹式呼吸とは。やり方、メリットとデメリットについてまとめます

今回は逆腹式呼吸について書いていこうと思います。

逆腹式呼吸は腹式呼吸と比べてあまりなじみがなく、「なんだか難しそうな呼吸法」「聞いたことはあるけどよくわからない」という方も多いのではないかと思います。

ですが、逆腹式呼吸は同様の呼吸法が世界的にも注目されており、「もしや最強の呼吸法なのでは?」と思えてくるほどです。

今記事では逆腹式呼吸の詳しい定義と、メリット、デメリットについてまとめていきます。

逆腹式呼吸に興味がある方は是非お付き合いください

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胸式呼吸と腹式呼吸のおさらい

まずは簡単に胸式呼吸と腹式呼吸についてのおさらいです。

逆腹式呼吸の解説をする際に「胸式呼吸」「腹式呼吸」という言葉をよく使うことになるので、サラッと確認していただければなと思います。

(胸式呼吸と腹式呼吸は知ってるよ。という方は飛ばしていただいて構いません!)

胸式呼吸とは

胸式呼吸は胸や肩回りの筋肉を使って行う呼吸です。

呼吸をする際に肩が上下に動くのが特徴で、胸を使った呼吸ともいえます。

(↑イメージとしてはこのへんで行う呼吸)

・胸や肩周りの筋肉を使った呼吸

・みためには肩が上下に動くのが特徴

ここでは簡単に以上のことを胸式呼吸の特徴として抑えていただければなと思います。

腹式呼吸とは

腹式呼吸は横隔膜を使った呼吸です。

横隔膜とは肺の底に位置する収縮性の高い筋肉の膜。

この横隔膜が弛緩収縮する(上下に動く)ことによって、肺の空気を出し入れする呼吸が腹式呼吸です。

見た目には呼吸の際にお腹が動くのが特徴ですね。

(↑イメージ的にはお腹周りで行う呼吸)

ここでは腹式呼吸の特徴として、

・横隔膜を使った呼吸

・みためにはお腹が動く呼吸

という点を抑えていただければなと思います。

逆腹式呼吸とは

続いて、本題の逆腹式呼吸についてです。

逆腹式呼吸というと、「腹式呼吸とは逆に、息を吸うときにお腹がへこみ、息を吐くときにお腹がふくらむ呼吸法」というのが一般的な認識です。

ですが、書籍「丹田呼吸の科学」によりますと、逆腹式呼吸の定義は時代とともに様々な説が出てきているようです。

同書によると、逆腹式呼吸は1911年に二木によって初めて提唱されたとのことです。

逆腹式呼吸は約100年も前に提唱された呼吸法なのですね。

この時の定義は「腹式呼吸とは逆に、息を吸うときにお腹がへこみ、息を吐くときにお腹がふくらむ呼吸法」とのこと。現在でも一般に使われている定義となりますね。

続いて、1971年に村木は「呼気で腹圧がかかる呼吸」と定義しました(呼気=息を吐く)。また、下腹は膨らむ呼吸を意味してたとのこと。ポイントとしては、「腹圧」という定義が新たに追加されたのですね。腹圧についてはとても重要なので、後ほど詳しく説明します。

そして、2005年には雨宮によって「呼気で上腹部がへこむ呼吸であり、下腹部の形は膨らんでいるようにみえる」と定義されました。大切なのは上腹部のへこみであって、息を吐くときにお腹がふくらむのはその結果ということですね。

それらを踏まえて、著者の久保田武美さんは「呼気で上腹部がへこみ腹圧が上昇する呼吸」と逆腹式呼吸を定義しています。

これらの定義のどれが正しいのかは一概にいえませんが、最近の定義として

・息を吐く際に上腹部がへこむ

・腹圧が上昇する

この二点が注目されているということになります。

今記事ではこの二点を踏まえた「呼気で上腹部がへこみ腹圧が上昇する呼吸」を逆腹式呼吸の定義として話を進めていきたいと思います。

逆腹式呼吸は100年も前に提唱された呼吸法なので、時代の流れと共に、「逆腹式呼吸のポイントって実はここじゃないの?」と注目される点もアップデートされているのですね。

文章だけだとわかりにくいと思うので、逆腹式呼吸における息の吐き方をイラストで確認しましょう。

(イラスト参考:自律神経を整える「長生き呼吸」)

息を吐く際に、上腹部(みずおち)がへこんで、下腹部がふくらんでいるのがわかりますね。これが逆腹式呼吸における息の吐き方です。

ちなみに息を吸うのは腹式で吸っても、胸式ですってもどちらでもいいようです。息の吸い方はあまり重要視されていないのですね。

逆腹式呼吸において大事なのは息の吐き方。

「上腹部(みずおち)をへこませながら息を吐く呼吸法」が逆腹式呼吸ということになります。

(具体的な逆腹式呼吸のやり方は、後ほど改めて紹介します)

逆腹式呼吸のメリット

このように定義においてもややこしい逆腹式呼吸ですが、ほかの呼吸法に比べてどのようなメリットがあるのでしょうか。

実は逆腹式呼吸には胸式呼吸、腹式呼吸に比べて大きなメリットが存在します。

それは「腹圧が最も強くかかる呼吸法」ということ。

先ほども紹介した「丹田呼吸の科学」によりますと、逆腹式呼吸は胸式呼吸、腹式呼吸に比べ、約三倍ほどの腹圧がかかるということが確認されています。

腹圧とは

急に「腹圧」という耳慣れない言葉が出てきましたね。

腹圧についてはこれまで触れたことがなかったので、ここで腹圧について解説していきます。

腹圧とは腹腔にかかる圧力のことです。

人間のお腹の中には「腹腔」とよばれる、胃や肝臓などの内臓を収める空間があります。

腹腔の上には呼吸の際に上下する横隔膜が存在します。横隔膜は息を吸う時に下降し、息を吐く時に上昇するという特徴があります。

息を吸って横隔膜が下がると腹腔が圧縮され、腹腔内の圧力が高まり、外側に力がかかります。

これが腹圧が強くかかった状態です。

呼吸の際に横隔膜が下がって、ギューッと腹腔を圧迫することによって腹腔に圧力がかかるのですね。

文章だけではイメージしづらいと思いますのでこちらもイラストを用意しました。

(イラスト参考「スタンフォード式 疲れない体」)

赤く塗りつぶされた部分が腹腔です。そこに横隔膜が下がってくることによって圧力がかかるのですね。

腹圧を高めることは非常に有益とされ、以下のような効果が期待できると考えられています。

〇体幹と脊柱が安定し、正しい姿勢になる

→腰痛の予防や治療、運動能力の向上につながる

〇内臓が腹圧を受けて大きく動き、お腹の中がマッサージされる

→腸機能が回復し、排泄強化。また、腸には体内の6割もの免疫細胞が集まっているので免疫向上も期待できる

〇静脈血がまとまって心臓へ押し流される

→血流が改善される。足の冷えやむくみ、エコノミー症候群にも有効

〇腹圧が上がると、腹腔内の内臓が大きく動く

→内臓脂肪の燃焼を促す

どれも健康につながる素晴らしい効果ばかりですね。

この腹圧が最もかかる呼吸法が逆腹式呼吸です。繰り返しになりますが、逆腹式呼吸では胸式呼吸・腹式呼吸に比べ、約三倍の腹圧がかかることが確認されています。

腹圧のメリットを最大限に受けられるのが逆腹式呼吸の利点ということになりますね。

(逆腹式呼吸では息を吐く「呼気」で強い腹圧がかかります)

IAP呼吸法とは。逆腹式呼吸は最強の呼吸法?

ここで腹圧に関するエピソードをひとつ補足として追記します。

体に様々な好影響を与えてくれると考えられている腹圧ですが、現在、腹圧は世界的にも非常に注目されています。

腹圧を高める呼吸を実際にトレーニングとして取り入れているのがスタンフォード大学。

スタンフォード大学というと成績優秀で頭のいい大学というイメージがあるのではないでしょうか?

ですが、実はスポーツに関しても超一流。

アメリカの大学スポーツには、NCAAという組織があり、野球、バスケット、テニス、アメフト……などの24の行儀の成績を総合的に評価して、各大学のスポーツの強さが毎年決められています。

そのNCAAランキングでスタンフォード大学はなんと「23年連続一位」という圧倒的な強さを誇っています。スポーツに関しても超エリート校なのですね

書籍「スタンフォード式 疲れない体」によると、そのスタンフォード大学も腹圧に注目し、腹圧を高めるための呼吸を選手に指導しているとのことです。

同大学の呼吸法はIAP呼吸法といって、息を吸うときにお腹をふくらませ、そのままお腹をふくらませた状態で息を吐くという呼吸法。若干の違いがあるものの、息を吐くときにお腹がふくらんでいるという点で逆腹式呼吸と一致しますね。

どちらも強い腹圧がかかる呼吸法なので、似通っている部分がでてくるのでしょう。

(厳密にいうと、IAP呼吸法=腹圧を高める呼吸「腹圧呼吸」をマスターするための呼吸法)

スタンフォード大学のプログラムでは、水泳選手、アメフト選手、野球選手……と競技ごとにマッサージやストレッチ、電熱療法などを用い、個別のアプローチをほどこしています。ですが、腹圧を高める「IAP呼吸法」に関しては全競技共通のプログラムとなっているとのこと。

同大学がいかに腹圧を重視しているのかがわかりますね。

ちなみにですが、スタンフォード大学のトレーニングプログラムは科学的な理論とデータに基づいて構成されており、根拠のないことはしないそうです。

「科学的な理論とデータ、効果の実証を重要視する最高峰の大学も腹圧に注目している」

このように聞くと、最も腹圧がかかるという点において逆腹式呼吸は「最強の呼吸法」ではないか?

という風にも思えてきますね。

(私は権威に弱いw)

逆腹式呼吸のデメリット

腹圧の恩恵を最も強く受けられる逆腹式呼吸ですが、逆腹式呼吸のデメリットとしてあげられるのが、「他の呼吸法に比べて難しい」ということ。

腹式呼吸などは手軽で簡単なため、非常に取り組みやすい呼吸法といえるのですが、逆腹式呼吸は結構難しいです。

難易度が高いため、「取り組みやすさ」や「継続」において根気が必要となるというのが逆腹式呼吸のデメリットということになりますね。

また、食道裂裂ヘルニア、腹壁ヘルニア、鼠径ヘルニアの方などは呼吸法で腹圧をあげるのは注意が必要とのこと。腹圧の強さの程度にもよりますが、妊娠中の方も同様に注意が必要です。

逆腹式呼吸のやり方

逆腹式呼吸のやり方については「丹田呼吸の科学」より引用で紹介させていただきます。

初心者の方はこの呼吸から練習し始めると良いそうです。


吸気(①)

胸を膨らませて吸う(=胸式呼吸で吸う)(注1)
腹は自然に上に引っ張られて凹んで見える(腹を凹ましているわけではない)
①の動作は胸と腹を使った胸腹式呼吸で吸ってもよい。

呼気前半(②)

鼻より「フン」というようにわずかに息を漏らした後、息を一瞬止めて上体の力を抜く気持ちになると(ただし、実験では胸部深層の筋である内助間筋は短縮性収縮していることが大切な事実である)、上腹部(下部胸郭)が凹み、下腹が膨らむ、あるいは膨らんで見える。

呼気後半(③)

次いで、長く吐くに従い、下腹の膨らみは徐々になくなり、自然に下腹が平坦になっていく。

所要時間の一例を示すと、①3秒で吸って、②2秒止めて、③15秒で吐くのであるが、時間にはこだわらなくてもよい。

引用元:「改訂版 丹田呼吸の科学」 著 久保田武美

ちなみに(注1)の点は、実験の計測のために条件をそろえるという目的で胸式呼吸にしたとのこと。文中にもあるとおり、胸腹式で吸ってもよいのですね。

印象としては、やはり腹式呼吸よりも難しいかな?という感じがしますね。

その分、腹圧も強くかかるということでしょうがないのかもしれません。

書籍「丹田呼吸の科学」には他にも逆腹式呼吸のバリエーションとその解説がのっています。興味がある方は書籍にてご確認ください。

逆腹式呼吸をできないとだめ?

続いて、どの呼吸法を選べばいいのかという点について記載します。

今記事は逆腹式呼吸の記事なので、逆腹式呼吸のメリットを全面にお伝えした「逆腹式呼吸推し」の記事となります。

「腹圧は世界的にも注目されている」「逆腹式呼吸は腹圧が最もかかる呼吸法」などのメリットを聞くと、

「やっぱ逆腹式呼吸できないとダメ?」

「なんか難しいけど頑張らないといけない?」

と不安に思う方もいらっしゃるかもしれません。

ですが、私の実践している限り、比較的簡単な腹式呼吸でも十分すぎるほどの効果を感じています。ですので、逆腹式呼吸はあくまでも「応用」としての呼吸法という位置づけでいいと思います。

また、三代目調和道会長で医師の帯津良一さんも次のようにおっしゃっています。

お腹が膨らむ腹式の呼吸には2通りがあります。
ひとつは吸ったときにおなかを膨らませ、吐くときにへこませる「順式」の腹式呼吸。もうひとつはこの逆、吸ったときにおなかをへこませ、吐くときに膨らませる「逆式」の呼吸です。
「どちらがいいのですか」とよく聞かれます。厳密に言うと順式と逆式では効果も違いますが、私はどちらでもやりやすい方法でいいと考えています。

引用元:「呼吸はだいじ」 著 帯津良一

基本的に呼吸法は自分に合ったものを選ぶのが一番ということですね。

ですので、私としては、

「腹式呼吸はマスターしたし、更に呼吸法を極めたい!」

という方にお勧めの呼吸法が逆腹式呼吸ということになります。

呼吸法に慣れてきた方は是非「逆腹式呼吸」にもチャレンジしてみてください!

逆腹式呼吸=丹田呼吸法?

補足として逆腹式呼吸と丹田呼吸に関する話をお伝えします。

書籍やネットで調べていると「逆腹式呼吸こそが丹田呼吸法」という意見も多く目にします。

丹田呼吸法に関する定義は様々なのですが、丹田呼吸法で有名な調和道の二代目会長・村木弘昌さんは「丹田呼吸法とは腹圧のかかる呼吸」とおっしゃっています

ですので、「最も腹圧のかかる呼吸法」という点では、逆腹式呼吸こそが丹田呼吸法だという意見がでてくるのもうなずけますね。

こちらは参考程度にどうぞ。

逆腹式呼吸について学べる書籍

最後に、逆腹式呼吸について学べる書籍をピックアップして紹介します。

改訂版 丹田呼吸の科学

今記事を作成するのに主に参考にさせてもらった書籍です。逆腹式呼吸時の腹圧の変動や、横隔膜の動きなどについてデータと共に記載されています。

個人的にはこちらが最もオススメの書籍となります。

ですが、データを基にした詳しい内容が記載されている分、かなり専門的な内容となっております。呼吸法の本を読みなれていない方には難しく感じるかもしれません。

「データを参照しながら逆腹式呼吸について詳しく知りたい」という方にオススメです。

万病を癒す丹田呼吸法

調和道・二代目会長の村木弘昌さんの書籍になります。調和道の呼吸法が上腹部(みずおち)を落とす呼吸法なので、こちらでも逆腹式呼吸について学べます。

先ほど紹介した「改訂版 丹田呼吸の科学」の著者の久保田武美さんも、「今から思うと調和道で私が教えてもらったのは逆腹式呼吸であった」とおっしゃってます。

本の趣旨が「逆腹式呼吸を解説する」というわけはないので、文中に「逆腹式呼吸」という言葉が出てくるわけではないのですが、読みやすい本ですので、こちらで代用するというのもアリです。

巻末に調和道の呼吸法である「三呼一吸法」のやり方が記載されています。

スタンフォード式 疲れない体

逆腹式呼吸についての本ではありませんが、腹圧を高める「IAP呼吸法」について学べる書籍です。

呼吸法以外にも、疲労発生のメカニズムや、疲労回復の方法が詳しく紹介されています。

興味のある方はこちらもどうぞ

まとめ

・逆腹式呼吸といっても定義は様々。最近では「息を吐く際に上腹部がへこむ」「腹圧が上昇する」という二点が逆腹式呼吸において注目されている

・逆腹式呼吸は最も腹圧がかかる呼吸法。胸式呼吸、腹式呼吸に比べ、約三倍の腹圧がかかることが確認されている。

・腹圧とは腹腔にかかる圧力。腹圧を高めると、様々な健康効果があると考えられており、世界最高峰のスタンフォード大学も腹圧に注目している

・逆腹式呼吸は腹式呼吸などに比べ難しいというのがデメリット。「腹式呼吸をマスターし、さらに呼吸法を極めたい!」という方に逆腹式呼吸はおすすめ。

・「逆腹式呼吸こそが丹田呼吸法」という意見も見受けられる。最も腹圧がかかる呼吸法というのがその論拠になっていると思われる

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