今回は、セロトニンサプリについて書いていきます。
セロトニンは精神安定に重要な脳内ホルモンとしてよく知られていますね。
そのセロトニンを増やす方法として、サプリメントに興味がある方も多いようです。
手軽さの面などから考えると、まずはサプリメントという発想が出てきますよね。
ですが、セロトニンの研究で最も有名な有田秀穂氏は、基本的にサプリメントでセロトニンを増やすことを推奨していません。
私としては、「セロトニンサプリは飲んじゃダメ!!」とまではいいませんが、服用の際に注意点があるのは事実です。
有田氏の話を聞くと、セロトニンサプリを摂取する際の注意点も自然と見えてきます。
セロトニンサプリに興味のある方は、事前に注意点を確認しておきましょう。
目次
セロトニンサプリメントは必要?効果は?
まずはセロトニンサプリメントって本当に必要なの?というお話から。
冒頭でも紹介しましたが、有田秀穂氏はサプリメントでセロトニンを増やすことを推奨していません。
それは何故かというと、基本的に食事からしっかりと栄養素をとっていれば、セロトニンが不足することはないためです。
わざわざサプリメントを摂らなくても、偏った食事をせずにバランスよく食べていれば、セロトニン不足になることはありません。
引用:ストレス脳が幸せ脳に変わる朝5分の習慣 著 有田秀穂
セロトニンのサプリメントは直接セロトニンを摂取するというものではなく、セロトニンの原料となる「トリプトファン」を摂取することによってセロトニンを増やすというのが基本となっています。
※セロトニンを直接摂取しても、脳には行きません。原料の「トリプトファン」から変換させる必要があります。
※最近では5-HTPなどを摂るというのも増えてきているようですが、話がややこしくなるので割愛します。
しかし、トリプトファンは普段、私たちの食卓に上がる定番の食品にも多く含まれています。有田氏が推奨するトリプトファンを多く含む食品は以下の通りです。
<トリプトファンを含む食材>
・大豆製品(豆腐、納豆、味噌、醤油、枝豆、豆乳、きなこなど)
・乳製品(牛乳、ヨーグルト、チーズなど)
・鶏卵
・魚卵(タラコ、スジコ、明太子など)
・ゴマ、ナッツ
・カツオ節
・アボカド
・バナナ
引用元:セロトニンDojo 公式サイト
これらの食品をとっていれば、基本的にセロトニンの材料となるトリプトファンが不足することはないということですね。
ちなみにですが、WHO(世界保健機構)の必須アミノ酸推奨摂取量によると、成人が一日で摂取すべきトリプトファンの量は、体重1kgあたり4mg。
50kgの人であれば200mg。
60kgの人であれば240mg
となります。
この数字はすぐにクリアできます。
例えば、
・目玉焼きにコップ一杯の牛乳。
・野菜炒めなどに肉類を適量
この程度で推奨量はクリアできてしまいます。
他にも、ごはんやパン、野菜やフルーツにも微量ながらトリプトファンは含まれています。バランスよく食事をとっていればトリプトファンが不足するということはなさそうですね。
(食材に含まれる詳しいトリプトファン量はこちらのURLが参考になります!)
また、セロトニンの合成には、炭水化物とビタミンB6も必要となってきます。
炭水化物は、ご飯やパン、麺類、果物、イモ類に多く含まれます。
ビタミンB6は、豚肉、玄米、豆乳、納豆、バナナ、青魚などに多く含まれます。
バランスよく食べていればこちらの栄養素も自然と入ってきます。
ですので、普段の食事を気を付けていれば、特段サプリメントで補充する必要はないということですね。
普段から上述したような食品をとっている方は、サプリメントでトリプトファンを補充してもあまり効果が見込めないかもしれません。
どうしても不安な人はサプリメントもアリ。
とはいえ、一言に食事内容に気を付けるといっても、実際やってみるとなかなか難しいことでもあります。どうしてもセロトニンの原料となるトリプトファン等が不足しがちだという人はサプリメントで補うというのもアリだと思います。
私自身も、ビタミン剤などのサプリメントはとっておりますし、サプリメント否定派というわけではありません。
しかし、その際でも、
栄養素は食事からとるのが基本。補助としてのサプリメント。
この意識はしっかりと持ち、普段の食事がおろそかにならないように気を付けましょう。
※「食事をおろそかにしてはいけないよ」という参考記事はこちら
サプリメントだけではセロトニンは増えない?
続いて、「サプリメントを飲むだけでは十分ではありませんよ」という話を見ていきましょう。
繰り返しになりますが、セロトニンのサプリメントは、セロトニンを直接摂取するわけではありません。セロトニンの原料となる「トリプトファン」を摂取するのが基本となっております。(前述したとおり、セロトニンを直接とっても脳には行きません)
ですので、サプリメントで「トリプトファン」を摂った後に、セロトニン合成のために、セロトニン神経を活性化させる必要があります。
※セロトニン神経が活性化されると、セロトニンの分泌量が増えます。
こちらも引用で紹介させていただきます。
セロトニン合成のためには、トリプトファンをとると同時に、太陽の光やリズム運動、グルーミングなどの行為を行う必要があるので、サプリメントでトリプトファンをとるだけでは、尿や大便から対外に排出される可能性が高いのです。
引用元:セロトニンDojo 公式サイト
セロトニン神経を活性化させる方法はこちらの記事で紹介しましたね。
・太陽の光を浴びる
・リズム運動をする
・グルーミング
この三つが代表格です。
「トリプトファン」摂取後に、これらを行うことによって、セロトニン神経が活性化され、セロトニンの分泌量が増えるということになります。
セロトニンの原料を増やすだけでなく、合成を促すことも重要なのですね。
こちらに関しては、工場で例えるとわかりやすいかもしれません。
例えば、アンパンをつくる工場を建設したとします。
アンパンを作るには、もちろん、原材料が必要です。小麦粉、卵、アンコ、砂糖……などです。
ですが、原材料があるだけでは、アンパンはできません。工程に従って、人員と機械がそれぞれの作業をこなす必要があります。
原材料だけを用意してボーっとしているだけはダメですよね。
生地を練って、アンコをパン生地で包んで、オーブンで焼いて………という工程を経てアンパンは出来上がります。
ここでいう、小麦粉、卵、砂糖などの原材料はもちろん、「トリプトファン」のことです。人員や、機械の行う作業が「太陽の光を浴びる、リズム運動、グルーミング」といったセロトニン神経の活性化。
原材料である「トリプトファン」を摂取して、「セロトニン神経を活性化させる」ことによって、しっかりとセロトニンの分泌が促されます。
せっかくサプリメントで「トリプトファン」を摂っても、そのまま排出されるようでは悲しいですよね(´・ω・`)
サプリメントを摂った後に、セロトニン神経を活性化させることも忘れないようにしましょう。
セロトニンサプリの危険性?過剰摂取するとセロトニン症候群の恐れあり!
もう一つセロトニンサプリメントを摂取する際の注意点をあげておきます。
こちらが最も気を付けていただきたい点になります。
サプリメントでセロトニンの原料を大量に摂取すると、セロトニン症候群とよばれる副作用が出る恐れがあります。
セロトニン前駆物質(セロトニン合成に直接関わる物質)をサプリメントで大量に摂取すると、セロトニン症候群と呼ばれる副作用が見られることが、研究で明らかになっています。
引用:「ストレスすっきり!!脳活習慣」 著 有田秀穂
セロトニン症候群の症状としては
・高熱や痙攣
・睡眠、覚醒障害
・吐き気、頭痛、興奮、錯乱
といったものがあげられます。
サプリメントの過剰摂取による副作用の話はよく聞きますね。
これはすべてのサプリメントでいわれることであり、もはや、定番の流れといっても過言ではありません。
①テレビや雑誌などのメディアで〇〇という栄養素が健康に良いと取り上げられる
②サプリメントを使ってその栄養素を大量摂取する人が出てくる
③逆に、副作用で健康被害が出る
これがセロトニンのサプリメントにも当てはまるということですね。
セロトニンのサプリメントを服用する際は、個人判断で服用量を増やしたりせず、しっかりと用法・用量を守って使用しましょう。また、別のセロトニンサプリメントと併用するといったようなことは避けましょう。
ちなみにですが、食品からトリプトファンを摂取する際は、過剰摂取になることはまずありません。
トリプトファンを多く含む食材を食べたとしても、トリプトファンを大量にとりすぎるということはありませんので、安心ください。
引用元:セロトニンDojo 公式サイト
トリプトファンの上限摂取量は?
気になるトリプトファンの摂取上限量の目安は6000mgとされているようです。
トリプトファンが配合されているサプリメントや栄養補助食品も市販されています。ただし、一日当たりの上限摂取量は6000ミリグラムを目安に。過剰摂取は肝臓に負担をかけるので注意してください。
引用:「もう振り回されない!イライラの9割が消える本」 著 船見敏
こちらの千葉科学大学の薬学部講師による資料でも『一日の摂取上限は6000mg以下』との記載があります。(参考PDF)
ただし、こちらで紹介した上限量については、あくまで参考程度とし、サプリメント摂取の際は再度ご自身で調べてから服用してください。
終わりに
以上がセロトニンサプリメントを摂取する際の注意点となります。
サプリメントは手軽ではありますが、その反面、食事内容がおろそかになったり、過剰摂取の危険性もあります。
また、サプリメントでセロトニンの原料である「トリプトファン」を摂取しても、セロトニン合成を促さないと、尿や便から排出されてしまう可能性もあります。
サプリメント服用を考えている方は、これらの点を念頭に入れて頂ければなと思います!
※ちなみにですが、私は心の病気をすべて完治させましたが、セロトニンのサプリメントは飲んでいません。
今回の記事は、これからセロトニンのサプリメントを飲もうと考えている方を対象に注意点をまとめました
当ブログの読者さんへのアドバイスとしては記事中でも紹介した通り、「基本的にはトリプトファン関連の食品を意識して取っていれば十分。どうしても不安な人はサプリメントで補助」ということになります。
まとめ
・セロトニンの原料となる「トリプトファン」は身近な食材にも含まれているので、それらを意識的にとっていれば基本的に不足することはない。
・サプリメントで原料の「トリプトファン」のみ摂取しても、尿や便から排出される可能性がある。「トリプトファン」摂取後にセロトニン神経を活性化させることも忘れずに。
・セロトニンサプリの過剰摂取は「セロトニン症候群」をまねく危険性あり。ここに関しては特に要注意!!