不安障害の人が併発しやすい「非定型うつ病」って何?

 

今回は「非定型うつ病」という心の病気について書いていこうと思います。

「非定型うつ病」は不安障害の人が併発しやすいうつ病です。当ブログの不安障害の記事を読んでいる方は一度確認してみてください。

スポンサーリンク
記事内広告

非定型うつ病とは

今回紹介するのは「非定型うつ病」という心の病気です。

うつ病には症状によっていくつかの分類があるのですが、そのうちのひとつですね。

一般にうつ病という病気には以下のような認識があると思います。

・過度に自分を責める

・いくらよいことがあっても気分が晴れない

・あらゆることに興味や意欲を失う

・重苦しい気分が続く

私はうつ病に関してはあまり詳しくないのですが、私の持っているうつ病に関する漠然としたイメージは上記の通りです。

ですが、これは定型うつ病(正式にはメランコリー型うつ病)という鬱病の症状であり、今回取り扱う「非定型うつ病」はこの病像があてはまりません。

非定型うつ病は、比較的最近病気として認められたうつ病で、まだ専門医でもその存在が十分に知られているとはいえず、患者さんは単にうつ病と診断されたり、双極性障害、パーソナリティー障害と診断されることも少なくないそうです。

例えば、非定型うつ病の研究が日本より進んでいる欧米でも、定型うつ病に関しては74%の医師が正しく診断できているのに対し、非定型うつ病をきちんと診断できた医師は34%にすぎないという報告もあるようです。

参考図書:『よくわかる最新医学 非定型うつ病 パニック症・社交不安症 著 貝谷久宣』

同書によると、症状が違えば接し方や対処法も異なりますので、しっかりとした診断が必要になってきます。

※今回の記事で紹介する内容・データはすべて上記図書を参考にしています。

不安障害と併発しやすい非定型うつ病

今回なぜ非定型うつ病を取り上げたかというと、非定型うつ病は不安障害の人が併発しやすいうつ病だからです。

最も非定型うつ病を併発しやすい不安障害は「限局性不安障害」で約60%の人が併発します。

※限局性不安障害とは「ある特定のものや状況に対して過剰な恐怖をいだく症状」です。 雷恐怖、動物恐怖、血液恐怖、高所恐怖、閉所恐怖、先端恐怖などが主な例。

他にも社会不安障害では約40%、パニック障害では約30%、全般性不安障害では約13%の方が非定型うつ病を併発するとされています。

※参考図書記載の臨床調査のグラフより

不安障害の人でうつ病を併発する人がみんな非定型うつ病になるわけでないのですが、他のうつ病を併発するよりも非定型うつになる方が確率的には若干高いそうです。

非定型うつ病が不安障害と併発しやすい理由は「非定型うつ病も根底はその人の不安気質がもたらす病気だから」とのこと。

不安障害の根底には「不安」があるということはこちらの記事で紹介しましたね。

※関連記事:「不安障害って何?まずは定義を確認しよう!

ちなみに私は基本的にうつ病とは無縁だと思っていたのですが、本を読んでいると私もこの非定型うつ病だった可能性が非常に高いです。

※私は症状を告げて病名がはっきりしても画期的な治療法があるわけではなく、薬が必要以上に増えるだけだと思っていたため、医者に最低限の症状しか告げていませんでした。

非定型うつ病の代表的な症状

非定型うつ病の代表的な症状は次の5つです。

1,気分反応性

2,過食傾向、体重増加

3,過眠

4,ひどい倦怠感

5,他人からの批判に敏感

以下、ひとつずつ見ていきましょう。

気分反応性

気分反応性は非定型うつ病の基本症状のひとつで、簡単にいうと気分のアップダウンが激しい状態です。

定型うつ病の方が、まわりにどんなことがあっても、いつもうつうつとして楽しめずに沈んでいるのに対して、非定型うつの人は自分にとってうれしいことが起こると気分がよくなり、うつ症状が軽くなったり消えたりします。

ですが、一方で、少しでも嫌なことがあると気分がふさぎ、落ち込んでしまいます。はたらかみれば、ごく些細に思えることでも、本人は激しく反応してしまいます。

その症状から周りからは「自分勝手」や「気まぐれ」といった非難を受けやすいですが、参考図書によると、これは非定型うつ病の典型的な症状であり、本人の意思でやっているのではなく、病気がそうさせていると考えるべきとのこと。

非定型うつ病の基本症状である気分反応性は「感情がとても過敏になっている状態」ともいえます。

簡単に理解したいという方は「気分反応性=気分のアップダウンが激しい状態」が個人的には最もわかりやすいのではないかと思います。

過眠、過食

定型うつ病の場合は「眠れない」不眠に悩まされますが、非定型うつ病は「眠りすぎる」過眠の症状がよく見られます。

過眠の基準としては「1日に10時間以上眠る日が、1週間に3日以上ある」を目安とします。

※10時間は、昼寝と夜間睡眠の合計時間でもよく、眠っていなくてもベッドにいた時間が10時間以上あるかどうかで判断します。

過眠の原因としては、先ほど紹介した気分反応性による激しい落ち込みの他、のちほど紹介する鉛様麻痺というひどい倦怠感などが影響していると考えられています。

過眠は非定型うつを診断するときの重要な症状です。

また、食事に関しても定型うつ病と非定型うつ病には相違が見られます。定型うつ病では一般に食欲がなくなりますが、非定型うつ病では逆に度を超して食べる過食・体重増加の症状が見られます。

過食の目安としては「週に3日以上、度を超して食べる」「特に甘いお菓子などを、絶えず食べ続ける」を目安とし、体重増加としては「1ヶ月の間に、健康時の体重の5%以上の増加が見られる」が目安です。

※1ヶ月の間に、健康時の体重の5%以上の増加→体重が50kgの人が1か月で2.5kg以上増えている状態

非定型うつの男性患者の中には、抑うつ状態の時には毎日、牛丼を五杯以上平らげるというケースもあるそうです。ですが、ほとんどの場合は甘いものへの欲求が強くなるとのこと。

過食の原因としては、

・何か口にしていないと気分が落ち着かないという不安感で食べることを抑えられなくなる

・甘い物をたべるとインスリンが分泌される→脳内のセロトニンが増えるので抗うつ薬と同じ効果が見られる

・特にチョコレートを食べる人が多く、これも脳内の神経伝達物質に作用し、気分をよくする効果が見られる

などが考えられています。

※脳内の神経伝達物質等の話は現段階ではあくまでも仮説です。

ひどい倦怠感

心の病気は様々な身体症状も引き起こしますが、非定型うつ病では「鉛様麻痺」という度を超した倦怠感が症状として現れます。

これは、まるで手足に鉛がつまってしまったかのように体が重く感じる症状です。

鉛様麻痺の症状が現れると、単に疲れやすいといったレベルを超え、立ち上がるのさえ苦労するほど全身が極度にだるくなります。

鉛様麻痺は過剰な運動をしたために起こるのではなく、嫌なことがあって気分がふさぎ込んだときに起こりやすくなります。

非定型うつを診断するときの基本となる症状は気分反応性ですが、鉛様麻痺も、それに劣らないほど非常に重要な症状です。

他人からの批判に敏感になる

他人のなんでもない言動に、過敏に反応したりして、激しく落ち込んだり、攻撃したりする「拒絶過敏性」も非定型うつの方によく見られる症状です。

誰しも他人の評価を気にすることはありますが、他人の侮辱的な言動や、軽視、批判に対して極度に敏感になり、ふつうでは考えられないほど激しく反応するのが「拒絶過敏症」です。

その背景には、対人恐怖(自分の外見や能力を低く見積もられることへの恐怖)、プライドの高い性格(他人の目を気にする自己愛性)が存在すると考えられています。

非定型うつ病の人は他人は他人、自分は自分と割り切ることがなかなかできず、いつも周囲の目を気にしながら生きてきた人が多いそうです。

その他の症状と定型うつとの違い

非定型うつ病のその他の症状としては、気分の変動が、定型うつでは朝から午前中に書けて最も憂鬱になる傾向があるのに対し、非定型うつでは夕方から夜にかけて憂鬱になる傾向があります。

また、イライラしたり怒りっぽくなり、突然怒りを爆発させる「怒り発作」を起こすこともあります。

以上の内容をまとめて、非定型うつ病と定型うつ病との違いとしては

・感情のアップダウンが激しい

・過眠、過食の傾向がある

・夕方から夜にかけて憂鬱になる

などが主な特徴と言えそうでね。他にも、定型うつの方は他人に配慮し、自責感を持ちやすいのに対し、非定型うつの方は他人の顔色をうかがい、他人の評価に過敏という傾向もあります。

※非定型うつ病の人は、発病前はいわゆる「よい子」だったケースが多いそうです。親や周囲の人にとっては手のかからない、おとなしい子供で、学業の成績もよく、エリートコースを歩む人もいます。

対処法は?

非定型うつ病の対処法は定型うつ病と同じように薬物療法が中心となります。

非定型うつ病ではMAOI(モノアミン酸化酵素阻害薬)という昔使われていた抗うつ薬のほうが有効という報告がありますが、現在日本ではMAOIはうつ病の薬として認可されていないので使えません。

非定型うつ病によく使われる薬としては

抗うつ薬系→三環系抗うつ薬、SSRI、SNRI

抗不安薬系→ベンゾジアゼピン系抗不安薬

などがあげられます。

正直、聞いたことがある薬がならんでおり、あまり一般的なうつ病や不安障害と変わらないような・・・という印象ですね(´・ω・`)

この中でいうと私はSSRIとベンゾ系抗不安薬を服用していましたね。

薬物療法の他にも認知行動療法なども有効とのことです。

※記載のデータによると認知行動療法の非定型うつ病への有効度は58%。

私は非定型うつだった?

今回の記事で「非定型うつ」を取り上げたのは、非定型うつが不安障害の人が併発しやすいうつ病であるというのはもちろんのことなのですが、「もしかして私は非定型うつだった?」と疑問に思ったからです。

私はうつ病に関する詳しい知識は持っていなかったので、気分がよい時がある時点で絶対にうつ病ではないと思っていたのですが、私が経験した症状と非定型うつの症状が見事に合致しています。

気分のアップダウンが激しくなる「気分反応性」はありましたし、過食・体重増加、鉛様麻痺、拒絶過敏症も経験しました。

過食に関しては顕著で、病気の影響でストレスがマックスの時は一日五食たべてましたし、甘い物もたくさん食べていました。

鉛様麻痺は今でも鮮明に覚えているのですが、立ち上がれないほどに体がだるくて重くなり、目の前のコンビニに行くことすら困難な状態になりました。

他人からの批判に過度に反応する「拒絶過敏症」に関しても当てはまりましたね。これは社会不安障害では該当する人が結構多いのではないかと思います。

精神医学分類の世界的基準であるDSM-5の診断基準では、気分反応性に加え、体重増加または過食、過眠、鉛様麻痺、拒絶過敏症のうち2つ以上があると非定型うつ病の診断が確定され、1つで疑いがあるとされます。

※基本症状は気分反応性で他の症状は「副症状」という扱いです。

過眠以外のすべての症状が出ていたのでおそらく、、、というか私はかなりの確率で非定型うつ病だったのでしょうね。

ちなみにですが、私の場合は他にも幻覚が見えたり吐いたりしており、そちらの方がやばすぎてあまり他の症状には気が回りませんでした。

過食や鉛様麻痺が起こっても「ストレスで色々おかしくなってるんだろう」くらいの感想しかなかったのですが、多くの方が経験している症状でちゃんとした病名があったんだなという印象です。

終わりに

今回は不安障害の人が併発しやすいうつ病「非定型うつ病」を紹介しました。

個人的にポイントだなと思った点は、

・非定型うつ病も不安障害も共に不安気質がもたらす病気

・非定型うつ病と他のうつ病では症状が異なる

の二点ですかね。

正直、使う薬も似たりよったりという時点で、非定型うつ病も医者に通って治る人もいれば、治らない人もいるのかなという感じなのですが、知識を持っているだけで症状に対する恐怖感が少し和らいだり(他にも多くの人が同様の経験をしていると知ることができるので)、また、周りの人が理解の手助けになるという面はあると思います。

個人的には非定型うつ病も不安障害も共に根底には不安気質があるということなので、不安に対する上手な対処法を身につけるというのが大切なのではないかと思います。

当ブログでは併発する症状についてひとつひとつ対処法を立てるのではなく、一括して「不安に対する上手な対処法を身につける」というスタンスですので非定型うつ病に関してもこれまで通りの方針で進めていきたいと思います。

スポンサーリンク
記事内広告
記事内広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

関連記事