進化心理学とは?脳も進化の産物だ!という心理学について解説します

今回は進化心理学に関する記事を書いていきます。

最近記事で進化心理学の考えを紹介することが多いので、一度内容を確認していただければなと思います。

※今回の記事は、総合研究大学院大学長・長谷川眞理子さんの解説を元に作成しました

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進化心理学とは

前回までの記事で何度か紹介してきた内容となりますが、「進化の過程も考慮して人間の心理を考察していこう」という学問を進化心理学といいます。既存の学問領域で言うと、進化生物学と心理学が一緒になった形ですね。

私は自身の心の病気を治すために様々な知識を吸収してきましたが、当ブログのメインテーマとなっている「ネガティブな性格と上手につきあう」において、進化心理学、行動遺伝学、生化学は非常に役に立つと感じております。

進化心理学の内容は実例をみた方が早いと思いますので、おさらいがてらに当ブログで取り上げた進化心理学の具体例をいくつか列挙していきましょう。

※すべての例の前提となるのが、原始的な狩猟採集生活は常に死の危険と隣り合わせの過酷な世界だったということ。生きるためにマンモスと闘ったり、凶暴なサーベルタイガーから逃げ回ったり、誤って毒性のある食べ物を食べて死に至ったり、大嵐にみまわれて命を落としたり・・・私たちの祖先は「生き残ること」が最優先の過酷な環境を生き抜いてきました。その祖先に必要だった心の働きが、現在の私達にも受け継がれています。

〇不安や恐怖といった感情がこれほどまでに強く暴走しやすい理由

→原始的な生活は常に死の危険と隣り合わせの世界だった。生き残るためには安易な楽観思考は役に立たない。不安や恐怖といった強力な危機察知能力が必要だった。

〇ついつい他人と自分を比較してしまう理由

→過酷な環境では集団から外れると生きていけない。集団からはぶかれないようにヒトは「自分は集団に貢献できているか」「周りのメンバーと同等か」「周りの人に拒否されるようなことをしていないか」と確認を怠らないようになった。

〇人が孤独感に悩まされやすい理由

→上記理由と同じ。集団からはぐれ、一人の状態になったとき=孤独な状態になったときに苦痛や痛みを感じるのであれば、また集団に戻ろうと考えるようになる。

〇自分にない物ばかりに目が行き、渇望感に苦しむ理由。

→石器時代の人間にとっての成功のルールは「より多く、より良く」だった。食糧備蓄が多ければ欠乏したときに生き延びる可能性が高くなる。よりよい住居は安全で、天候や野生動物から身を守ってくれる。

私たちを苦しめることが多い困った心の性質も、過酷な環境を生き抜いてきた祖先には必要な能力であり、それを私たちも受けついでいるということでしたね。

このようにヒトの心理を考えるときに、進化の影響を考慮に入れるのが進化心理学の大きな特徴といえます。

本当に大昔の話なんて関係あるの?

なぜ一見何も関係がないように思える太古の祖先の生活が、現代の私たちの心理にも影響を及ぼしていると考えるのでしょうか?

主な理由は以下の二つです。

・脳もひとつの臓器であり、胃袋などの他の臓器同様、生きてきた環境と密接に関係しながら進化してきた

・600万年という人類史のほとんどは狩猟採集生活であり、近代的な生活に脳の進化は追いついていない

脳はひとつの臓器である。

ヒトの臓器は胃袋でも皮膚でも目でも、動物としての人が進化してきた環境に適応して作られてきました。

胃は何でも消化できるというわけではなく、石油などは消化できません。

感覚器のひとつである目と鼻をとって考えてみても、ヒトは昼行性の霊長類なので視覚が優位となり、逆に夜行性が多いほ乳類は視覚はあまり使わないので、嗅覚が優位になります。

また、昼間に動く動物であるサルから進化した人間には紫外線は見えませんが、紫外線が見え、それを活用している動物はたくさんいます。

(蝶々などは紫外線が見え、花の蜜がある場所がピンポイントで分かるそうです)

それと同じように、脳も臓器です。

臓器である以上、他の臓器同様に、環境への適応や進化の影響を受けているはずです。

ですので、進化心理学では、ヒトの心理について考えるときは、その発生源である脳も進化の影響を受けているという見方を加えて考察する方が有益だと考えます。

600万年の人類史のほとんどは狩猟採集生活

狩猟採集時代の話となるとピンとこないかもしれませんが、人類の600万年の歴史のほとんどは狩猟採集生活です。農耕や牧畜がはじまったのは600万年のうちの最後の1万年ですし、電気や電話、家電製品、自動車が普及した現代生活が始まったのは約50年~100年前。パソコンや携帯、SNSとなるとここ10年の話。

人類史の長いスパンから見ると、近代的な生活というのは最後の1秒くらいであり、また、その変化の早さも尋常ではありません。

急激な環境の変化に進化は追いついておらず、私たちの脳や身体の仕組みは太古の祖先と大きく変わっていないと考えられています。

(ゆえに、私たちは太古の人類と同様に、不安や恐怖を喚起する情報に敏感になり、集団からはぶかれることを非常に恐れます)

人類史全体という大きな目で見たとき、「ヒトの脳、そして、心理の中にもまだまだ原始的な部分が残っている」と進化心理学では考えるのですね。

※厳密に言うと、私たちの直接の祖先であるホモ・サピエンスが現れたのは約20万年前です。

広がる進化心理学

進化心理学を学ぶ重要度は日々増しております。例えばR.Eニスベットという社会心理学者はかつて、

「すべての大学の心理学教室に、一人は進化心理学者がいるべき」

と語っていました。ですが、最近では

「すべての心理学者が進化を念頭において研究するべき」

と発言を変えています。

(R.Eニスベットは社会心理学会の会長もやっていたお偉いさんです)

私も様々な心理学者の本を読んでいて頻繁に進化心理学の考えを目にしますので、人の心理を考察するときに進化の過程も考慮するというのは、今では常識となりつつあるといえそうです。

補足

念のために補足ですが、進化心理学では「ヒトのすべての心理作用は進化の産物である」と考えるわけではありません。

あくまでも、ヒトの心理を考える際に、進化の影響というバイアスを考慮して考えるのと、そうでないのとでは、考慮した場合の方がヒトの心をよりよく理解できるのではないかという提案です。

進化的な影響を考慮した仮説を立て、その仮説が正しいのか実際に検証する。

そして、それが正しいと分かったら、現代の環境下で生きる際にどのようなことに気をつければいいのかということを考えていきます。

何でもかんでも進化の影響だと決めつけいるわけではなく、仮説を立て、その後検証に入るという流れは誤解しないように抑えておきたいところですね。

終わりに

今回の記事で進化心理学について解説しました。

一つの記事完結という簡単な解説でしたが、理解していただけたでしょうか?

これからもメンタルの悩みに向き合っていく際に、進化心理学の考えを紹介することも多いと思いますので、ざっくりと内容を把握していただければなと思います。

次回の記事では、進化心理学の考えを学ぶのがなぜメンタル対策において重要なのか?について書いていきたいと思います。

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